【第56号】「ジョブ型雇用」が目指すものとは?

組織で一人ひとりが最大限パフォーマンスを発揮するには、「良いしくみ」が欠かせません。

今、企業で「ジョブ型雇用」の導入が徐々に進んでいます。

今までの企業の多くは「メンバーシップ型雇用」のスタイルを取ってきました。
いわゆる「人」に職務が紐づく制度です。
例えば、Aさんは最初は営業部門、次がマーケティング部門、次が管理部門…と様々な部門を経験することで、
社内事情に精通した人材になります。
終身雇用とも紐づく考えです。
社内の色んな職務に就き経験を積むことで、様々なスキル・視点を身に着く「ゼネラリスト」を育成することが目的です。

一方で、「ジョブ型雇用」は、「職務」に人が紐づく制度です。
例えば、営業一筋、マーケティング一筋、管理部門一筋…という人が出てきます。
専門性や強みの発揮により、組織のパフォーマンスが上がる…という考えです。
実はこのジョブ型雇用には、以下のような批判もあります。

「自分の職務以外のことはやりません・知りませんという仕事のお見合いやポテンヒットが生じるのではないか?」
「部門間の分断が起き、かえって生産性が落ちるのではないか?」
「やりたい職務がない人はどうしたらいいのか?」
「専門性を発揮できない社員の締め出しではないか?」

このような話をすると、どっちの制度がいいか・悪いか?という話になりがちですが、
本質は別のところにあります。

筆者を引き合いにだしますと、
筆者の働き方は「ジョブ型雇用の典型」と思っています。
「ジョブ型雇用」の本質は、「実現したい社会・目的」が第一義にあります。

筆者は、様々な原体験や社会に対する問題意識を通じて「心ある人・組織を増やしたい」と思い、独立起業しました。

現時点で筆者が発揮できる「専門性」は「研修講師」「営業」です。
ただ、これはあくまで手段であって、その先にある目的は先述の通りです。
実現したい目的があるからこそ、専門性も存分に発揮できます。

では、筆者が「この先も研修講師と営業しかやりません」というと、そうではありません。
実現したい社会に向け、今はできていないけど、いずれ必要となるスキルもあります。
そのための自己研鑽は欠かせません。
また、目的達成が第一義なので、そのために、筆者にはない専門性(例えば、財務・マーケティング)を持った人に働きかけていく必要もあります。

「自分で広くスキルを身に着けるべき」という考えもありますが、
昔に比べ、スキルが高難度化している時代にあり、筆者が広くビジネススキルを身に着けるには限界があります。
であれば、自身の強みにフォーカスして、自分にできないことは専門家に任せる方が、どう見ても目的達成の近道です。

その際、その専門家が「筆者のビジョン」に共感してくれるかどうかが大切です。
条件を提示して来てくれたとしても、より良い条件があればそっちに鞍替えするのが目に見えているからです。
また「専門以外のことはやりません」という冷めた感覚の人だとちょっとキツいです。

だからこそ、働きかける側の「人間的魅力」「ビジョンを語れる力」がより一層大切になってきます。
「巻き込み力」とも言えます。

「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」は対立概念としてとらえられがちではありますが、目的は変わりません。
ただ、どちらが目的達成に近づきやすいか?といえば、ビジネスが高難度・複雑化した現代においては「ジョブ型雇用」に分があります。

一方、ビジョンなき「ジョブ型雇用」の導入は、組織の瓦解を招きます。
だからこそ、一人ひとりが、
「世の中をよりよくしていくために、自分にできることは?」
「自分は、どんな世の中にしたいのか?」

という利他の感覚自己ビジョンを持つことが、よりいっそう求められると感じます。
ただ、それが結果として自分自身にも跳ね返ってくることも実感します。

ー 幸福は香水のごときものである。人に振りかけると、自分にも必ずかかる。ー
                        byラルフ・ウォルド―エマソン

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