【第71号】「すべての悩みは人間関係の悩みである」って本当?【第2回 / 全3回】

【前号の続き】
「あなたに悩みをもたらすほぼすべてが『人間関係』によるものだ」とアドラー博士は言いました。
しかし、それを覆すような研究結果が示されたのです。
「人間関係」等、自分を取り巻く環境による悩みは、人の「幸せ(ハピネス)」に対して、10%しか影響を与えないというのです。

※ここからは、著書「データの見えざる手」矢野和男著(日立製作所フェロー)も引用しながら説明します。

カリフォルニア大学ソニア・リュボミルスキ教授は、「幸せ(ハピネス)」を研究している第一人者です。

・全般的に、あなたは幸せな人ですか?
・まわりの人に比べて、自分のことが幸せだと思いますか?

というような単純な質問に答えるだけで、幸せを大まかに定量化して数字にできるそうです。

読者のみなさまは、どんな人が「幸せな人」だと想像しますか?

もしかしたら、良く伴侶に恵まれ、容姿に恵まれ、高学歴で、社会的地位の高い職業で、高級車に乗って、お金に不自由もない…、
きっとそんな人思い浮かべるのではないでしょうか。

ところが、研究が進むにつれて「幸せ」とは、私たちの想像とはまったく異なることが明らかになってきました。

「幸福度」を「%」で表現するとしたら、「100%中」の「約50%」は、
生まれ持った遺伝的性質や幼少期の体験に影響されていることが分かっています。
つまり、生まれつき幸せになりやすい人と、なりにくい人がいるということです。
すべては努力で変えられる、と信じたいところですが、IQや外見などと同様に、幸せを感じやすいかどうかも遺伝は影響しています。

遺伝的に影響を受けない残りの50%は、後天的な影響です。
半分は、努力や環境変化で変えられます。
これは、変えられる部分は意外に大きいとも捉えられるのではないでしょうか。

この「残りの50%の後天的な幸せ」とは一体何でしょう?

結婚してよき伴侶を得たり、新しい家を購入したり、宝くじに高額当選すると、自分の幸せは向上すると思うでしょう。
しかし、同教授の定量的な研究によれば、これらには案外小さな効果しかなかったそうです。

反対に、「人間関係」がこじれたり、仕事で失敗すると、私たちは不幸になると考えます。
ところが、実際にはそうでもないと言うのです。

これらが自分の幸せに対して与える影響は、約10%しかありません。

人は、自分が想像しているよりもはるかに短期間のうちに、よくも悪くもその「自分を取り巻く環境の変化」に慣れてしまうのです。(「取り巻く環境」とは、人間関係(職場・家庭・恋人など)、お金、家、車、健康などすべてが含まれます。)

「え、本当に?」

と思われるかもしれません。

誰しも疑うところではありますが、これは大量のデータに裏付けられて慎重に統計解析された結果なのです。

ただ、これは想像してみるとうなずけるところもあります。
たとえば、素敵な家電製品を購入しても、最初に買った瞬間の感動は長続きはしませんよね。
まら、昔に比べ、生活は便利になりました。情報もすぐに手に入るようになりましたが、それで人々が幸せになったかというとそうともは言えませんね。
人間関係についても同じです。
最初に一目惚れした相手だとしても、長く付き合うと慣れるものですし、
転校や転勤で人間関係が変わっても、人はやがてその環境に慣れていくものです。

「でも、慣れないものは慣れない。ダメな人はダメ。」
「あの人のせいで私の人生は振り回されっぱなしです。それでも10%しか影響しないと言うんですか?」

という意見も聞かれそうです。

ただ、これは「残り40%の幸せ」を獲得できていないので、
相対的に10%の幸福度に大きな影響を受けていると言えます。

裏を返すと、この「残り40%の幸せ」に目を向けることができれば、
人間関係をはじめとする10%の幸福度は相対的にちっぽけな存在になってくるのです。

50%が遺伝、10%が自分を取り巻く環境(人間関係、お金、物、健康等)だとしたら、
「残り40%の幸せを左右するもの」とは一体何なのでしょう?(次号へ続く)

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