【第76号】気

企業向けに、コミュニケーションに関する研修を行っていた時のことです。
先輩社員が後輩と関わる際に気を付けるポイントをいくつかお伝えしたところ、
受講者からあるコメントを頂きました。
それは、

「なんか『気』疲れしそう」

というものでした。

「気」持ちは理解できますし、共感する部分もあります。

 

ただ、気疲れするのは、普段「気」を使っていないことの裏返しと言えます。
毎日、誰にも何にも気を使わず、自分の好きなことにだけ時間を費やしていれば「気」を使っていないことになります。
そんな状況で、いきなり誰かに気を使うとなると「変な気を使う」ことになります。
また、気を使わなければ、「気になる」ことばかり増えてきます。
だから、「気疲れ」するのです。

お金は使わなければ、貯まっていきます。
ですが、不思議と「気」は使わなければ、減っていきます。

気はどんどん使った方が増えていきます。
ラクすることばかり考えて「気」をケチったり惜しむのは、実に勿体ないことです。

新入社員の頃、先輩社員から「気働きしろ」と言われました。
当時は「なんのこっちゃ?」と思いましたが、20年以上経った今、この言葉は身に沁みます。
「頭」ばかり働かせて、いかにラクするか考えている人にこそ「気働き」は必要に思います。

「気」を働かせるとは、実に様々です。

「気」づく
「気」配りする
相手を「気」遣う
勇「気」をもって行動する
「気」合いを入れる
「気」配を感じる
根「気」強く取り組む…

このように、正常に気を働かせていれば、
余計なことに「気」を取られたり、
変に「気」にしたりもしません。
集中力にも直結します。

一方、最近はすぐキレる、短「気」な人が増えたような気がします。
「気」にスタミナがなく、すぐ息切れしてしまうからかもしれません。
普段、気働きしている人は、「気」にスタミナがあるので少々のことではキレません。
踏ん張りがききます。

また、スマホばかり見ていて、周囲に「気」づかない人も増えました。
「気」を抜くと、「ボーっと生きてんじゃねぇぞ!」とチコちゃんに叱られます。

実は、日本ほど「気」を大切にしてきた民族はいないと思います。
「気」を使った熟語は無数にあります。
「気候」「空気」「景気」「士気」「気迫」「気骨」「本気」「浮気」「人気」「気持ち」「気分」「気風」…

ただ、「気」というのはいかんせん目に見えません。
だから、科学的見地や合理主義的な視点から見れば「そんな『気』がする」なんて言っても何の根拠もありません。
日本人の持つ感性が、西洋的な合理主義・効率主義によって、端っこに追いやられた「気」がします。

だからこそ、現代に生きる日本人には、本来の正「気」を取り戻してほしいと感じます

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