【第77号】秋田の温泉宿にて

つい先日、出張で青森・秋田に行ってきました。
その際、湯治として有名な温泉施設に2泊しましたが、
その時の出来事がとても印象に残りましたので共有します。

初日は遅い時間に宿に着いたので、さっと入浴後、急いで食事会場に向かいました。
ビアホールのような100名くらいは入る食事会場です。
飲み物は、客が自らカウンターに注文しに行きます。

「生ビール一杯お願いします」

そうしたら明らかに泡だらけ(5:5くらい)で出てきたので、
「すみません、ちょっと泡が多いのでもう少しつぎ足してもらっていいですか?」と言ったところ、
そのスタッフは無言でビールをつぎ足しました。
すると、今度は逆に泡が溢れ出たので、スタッフはビールごと捨て、新たに注ぎなおしました。

申し訳ない気持ちになった筆者は、
「ビールサーバーの調子が悪いんですかね‥」
と言ったものの、リアクションなし。

『サービスを売りにした温泉旅館でなく、湯治目的の保養施設だからしょうがないのか』と思いつつ、
やるせない気持ちになりました。

その他にも、他のスタッフからも素っ気ない対応を感じ、
『温泉が良すぎると、サービスの質は下がるものなのか…』と思いました。

『もう一泊ここには泊まるけど、この宿に泊まるのも今回が最後だな』という気持ちになりました。

 

そして、2日目の夕食タイム。

接客には期待せず、食事会場に向かいました。

 

すると、筆者と入れ違いで食事会場を後にする宿泊客に、

「ありがとうございます!」

と、透き通るような声を発する若い男性スタッフがいました。

それに呼応するかのように、他のベテランと思われるスタッフ(昨日もいたスタッフ)も、
「ありがとうございます」と後に続いていました。

筆者が滞在している1時間だけで、様々なスタッフからの元気な「ありがとうございます」を100回くらいは聞きました。

食事会場に響き渡る、たくさんの「ありがとうございます」

なんだか気持ちが良くなってきました。

 

『「ありがとうございます」の響きって、こんなに人の心を癒すんだな』

 

そして、『同じ宿でも、たった一人のサービスで、こんなにも印象が変わるんだ』とも感じました。

 

そして、2泊目、誰よりも先に「ありがとうございます」を発していた彼こそ「このチームのリーダー」のように思えてきました。

指示で他のスタッフを動かすのではなく、自発的な動きに周囲が呼応していく…。

スタッフの動きも連動していました。まさにチームワークです。

筆者も大学生の頃、リゾートホテルで短期間ホールスタッフをした経験があるので、
自分だけが「ありがとうございます」と発することの難しさが分かります。
周りのスタッフが黙々と働いている中、自分だけが違った行動を取るには「勇気」がいります。

 

武士道精神として、「義・勇・仁・礼・誠」が挙げられます。

「義」とは、自分の良識や規律に従うこと。
「勇」は、義の心を持って、一歩踏み出して行動すること。
「仁」は、思いやりの心。
「礼」は、相手を尊重する所作・振る舞い。
「誠」は、礼を心から行う気持ち。

ちょっと大げさかもしれませんが、今回の男性スタッフから「武士道精神」を学びました。

1泊目だけで終わったら、もう二度と泊まりたくない宿。
でも、2泊目でその印象が180度変わりました。

「また来たい宿」で締めくくりました。

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