【第85号】”幸せな”採用

相も変わらず「転職市場」が活況です。

「自分らしい生き方を模索する」
「職業選択の自由が増えた」…という点では、望ましいかもしれません。

その一方で、「採用した人材が辞める → また次の転職先を探す」となると、
ますます「転職支援会社」が儲かる…ということになります。

その裏で、企業は「採用」に多くのコストをかけています。
また、会社の文化、人間関係、ルールや業務に馴染んでもらうまでの「育成コスト」もかかります。
ですので、「せっかく慣れてきたと思ったら辞めてしまう」ことの「目に見えないコスト」は計り知れません。

なので、個人的には「転職支援会社の活況」も度が過ぎると、「企業組織を衰退させる」と感じています。

そうなると、大事になってくるのは「採用」です。

「採用した人が、数年経たずして辞める」ということは、
「そもそもの採用に問題があった」と認めざるを得ません。

とはいえ、企業側も慎重を期して面接に臨んでいます。
申し分ない実績、第一印象、必要なスキル、学歴、信頼できる人からの紹介…
「走攻守」すべて揃っていて、「即採用!」といきそうですが、実はここに落とし穴があると考えます。

いざ入社してみると…、
・周囲とうまく関係を築けない…
・メンタル不調に陥ってしまう…
・問題行動を引き起こしてしまう…
・期待に見合った結果を出せない…
・すぐに辞めてしまう…

ということも多々あります。

筆者は、企業も応募者も「Win-Winの関係」になるためのポイントは3つあると考えます。
1つ目は「自己認識力」
2つ目は「職務へのコミットメント」
そして、3つ目は、「その組織での役割を認識すること」です。

1つ目の「自己認識力」とは、わかりやすく言えば「自分の傾向と対策の理解度合い」です。
この能力が高いほど、自分の非も素直に認め、改善点を自覚できるので、自らをより良い方向に導くことができます。

2つ目は、「職務へのコミットメント」です。
ポイントは、その人の「価値観の深さ」です。
「価値観」にも濃淡はあります。
その人にとって「ブレない価値観」と「職務に必要とされる価値観」が合致していれば、パフォーマンスは発揮しやすいでしょう。
なぜなら、「内発的動機」が明確で、モチベーションが高い状態を保てるからです。
職務へのコミットメントが弱いと、人間関係やちょっとしたストレスにもブレてしまいがちです。

そして、3つ目は「その組織での役割を認識すること」です。
これは意外に盲点でありますが、最もミスマッチが起きやすいポイントと筆者は考えます。
例えば同じプロ野球でも、移籍したとたん活躍する選手がいますよね。
これは、その本人が移籍したチームにおける自身の役割を発揮できているからす。
いわば「水が合っていた」わけです。

その人が、組織やリーダーの目指す方向性に対して、自分の役割を認識する。
そして、役割を十分に発揮し、周囲から必要とされていることを実感すれば、辞める理由もありません。

反対に、その人がどんなに自己認識力が高く、職務へのコミットメントが高くても、
その組織における役割を認識できていないと「宙ぶらりん状態」が続き、思うようなパフォーマンスは発揮できません。
これはお互いにとって不幸なことです。

1つ目の「自己認識力」と、2つ目の「職務へのコミットメント」は本人次第です。
一方で、3つ目の「その組織における役割を認識すること」は、正直入社してみないと分かりません。
HPや社員からの情報収集では不十分です。
こればかりは、採用担当の問題(Matter)です。

同社を長く経験する採用担当が、自社(やそこで働く人の特性)を客観的に捉え、
「その人は、自社が求めている役割や文化に合致しそうか」を見ていく必要があります。
そうでないと、「彼(彼女)は有能だったが、彼(彼女)の適性に合う役割を提供できなかった」ということにもなりかねません。
3つ目は「企業の自己認識力」が、カギを握るとも言えるかもしれません。

人間、生身の生き物ですし、絶えず変化しますので、採用に絶対的な正解はありません。
ただ、ポイントを押さえるだけでも、”相思相愛”の幸せな採用の確率はグンと高まり、
組織全体の活性化につながると考えます。

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