【第86号】共生的進化論

生き残るのは、譲る心を持った人 ~共生的進化論~

元・筑波大学名誉教授の、故・村上和雄氏は、20年近く前に以下のような記事を寄せています。
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生物はつねに競争をしていて、勝ち抜いたものだけが生き残り、
あとは淘汰されて絶えてしまい、突然変異によって、進化した生物が登場する…
というダーウインの進化論があります。
この説にしたがえば、勝者しか人生を楽しめないことになります。

しかし、まったく別の説が1960年に出てきています。
それは「生物は優勝劣敗で進化してきたのではなく、互いに助け合いながら進化してきた」
とする考え方に立つもので「共生的進化論」と呼ばれています。

人類は、誕生の最初から、相互扶助と分かち合いをその本来の特性としてきたという考えで、
闘争心とか権力志向の心とかは、その後の長い人類史の過程で形づくられたものといえそうです。

こうした考え方は、「対立と抗争」「分断と個別化」を進歩や進化の原動力と見なす考え方とは大きく異なっています。
助け合い、譲り合い、分かち合いの「三つの合い(愛)」が、本当の進化の原動力だとする考え方です。

コンピューターに、「どんな人が最後に生き残るか」を推測させたところ、
「力の強い人、自分のことを優先させて考える人、競争で勝ち抜いていく人」などという予想をものの見事に裏切って、
「ゆずる心をもった人」という結果が出たという話もあります。
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20年経ち、このうねりは現実のものとなっています。
「競争・強制」から、「共創・共生」のパラダイムへ。

「ゆずる」「分かち合う」「与える」

こういったことを自然にできる人が、結果として周囲からの人望を得て、
周囲の人が、その人を「生かす」のだと思います。
反対に、利己的な人に対しては、今まで以上に風当たりが強くなっているような気がします。

つまり、利己的な人がますます淘汰され、利他的な人が生き残る…という時代の到来です。
「利他の心」を持つことは、「道徳的に良い」ということではなく、
これからの時代を生きる、人間にとっての「生存戦略」なのかもしれません。

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