【第87号】仕事におけるコミュニケーション力 ~前編~

私たちは、あらゆる場面で他人とコミュニケーションを取っています。
普段、私たちはほとんど意識していませんが、コミュニケーションを取るには必ず何かしらの「目的」があります。

たとえば、仲間とのSNSでのやりとりでいえば、「情報共有」のほかにも、
「つながりたい」「認めてもらいたい」という目的があったりします。

また、おばさま同士の井戸端会議でも、
そこには「情報収集」や「コミュニティから外れないようにする」などの目的があります。

社会人が多くの時間を費やしている「仕事」も例外ではありません。
ただし、「仕事におけるコミュニケーション」の目的は、他の場面とのコミュニケーションとは一線を画します。

それは「成果(アウトプット)」を最終目的としている点です。
(その点は「競技」も同様のことが言えます)

他の場面のコミュニケーションは、情報共有・相互理解・関係構築などが目的になりますが、
仕事におけるコミュニケーションにおいては、これらは成果を出すための「手段」に変わります。

仕事におけるコミュニケーションは、
具体的には「成果」に向けた業務遂行・プロジェクト推進・利害調整などが挙げられます。

ということは、仕事では、私たちが普段考えるコミュニケーション力とは異なる能力が求められます。

ちなみに読者のみなさまは、「コミュ力が高い人」と言えば、どんな人を思い浮かべますか?

・トークがうまい
・おしゃべり好き
・誰とでも仲良くなれる
・話題が豊富
・明るい

みたいな人を浮かべるかもしれません。

確かにこのような要素はあるに越したことはありませんが、
仕事においては必ずしも優位には働くとは限りません。

仕事におけるコミュニケーション力とは、

その仕事の目的を理解し、周囲に納得感を持たせ、
成果に向けて、利害関係を調整し、チームワークを創出していくことで、
成果を最大化させていく力

と筆者は考えます。

そして、仕事におけるコミュニケーション力は、
成果に対して、「思い通りにならない」「思い通りにしなければならない」という状況でこそ問われます。

成果に対して思い通りにならない状況では、得てして以下のような問題が起きています。

・成果イメージを共有できていない。
・そもそも成果を出すために必要な能力・行動が足りていない。
・一人ひとりがあまり考えず、今まで通りのことしかやらないため、成果につながらない。
(本来なら、成果を出すために、やり方を変えたり、助け合うことなどが必要)
・利害関係が対立して、関係性が悪化している。

仕事におけるコミュニケーション力が低い状態にあると、以下のような関わり方になります。
【伝え手】
・苛立ちや不平不満をぶつける。
・相手の目線にならず、ただ自分が言いたいことだけ言う。
・成果を出すために、一方的に指示をする。
・摩擦を回避する。 など

すると、コミュニケーションの受け手は、
まったく動機づけられないことになるので、状況は一向に改善されません。
思い通りにならないからといって無理やり思い通りに動かそうとしても、なかなかうまくいかないものです。

【受け手】
・伝え手の発言に対して、ストレスを感じ、ネガティブな感情を抱く
・自分に負担を強いる「伝え手」との関係を遠ざける
・伝え手の話を「自分ごと」として捉えず、「他人ごと」として捉える。

こうなってしまうと、なかなか成果にはつながりませんし、
それどころか関係性が崩壊して、成果とは逆方向に進んでしまうことすらあります。

そういう点では、「仕事におけるコミュニケーション」は、
他のコミュニケーションより難易度が高いとも言えそうです。

さらに言えば、ここ近年は「こうすれば成果が出る」という方程式も崩れてきていて、
「モノが売れにくい時代」「商品のライフサイクルが短い時代」「何が売れるかわかりにくい時代」とも言われています。

「成果」がより高く、見えにくくなっているからこそ、
以前に増して、高いコミュニケーション力が求められています。

では、「仕事におけるコミュニケーション力」とは、具体的にどういうものなのでしょうか。
次号では、その核心に迫りたいと思います。

 

関連記事

TOP