【第108号】ラグビー・平尾誠二さんの予見

今から約18年前、すでに今の組織(チーム)のあり方を予見していた方がいます。
元ラグビー日本代表、故・平尾誠二さんです。

今回は、平尾誠二さんが雑誌「致知」に寄せた記事をご紹介します。
テーマ:『活力を創る』(一部抜粋)(2005年)

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いいチームはレギュラーから控えの選手まで非常に意識が高い。

昔は監督の指示通り動くのがいいプレーヤーだったが、
今はそういうプレーヤーは頼りない。
それよりも、新しいものを自分で創り出せる人が求められる。

日本のチームワークというと、団体行動を意味する。
同じ釜の飯を食うとか、全員7時起床、
そんなことがチームワークだとされるが、それは全然違う。

強いチームというのは、
指示された通りに動くだけではなく、
各々がイマジネーションというのを膨らませて、
それぞれの状況に応じて何をすればいいのかを考えだすチーム。
これからは特にそういうことが求められてくる。

ルール作りも大切だが、決め事を沢山作るチームは、あまりレベルの高いチームではない。
規則は自分の中でしっかり持ち始めた時に、モラルの高い高度なチームが出来る。
そのための教育、それをコーチングと言うが、グラウンド内でいかに行えるか。
それが、チームの活力を作る上で非常に重要なポイントになる。

僕はチームワークを高めるために、よく逆説的に「自分のためにやれ」と言う。
結局それが一番チームのためになるから。

また、みんなに「公私混同は大いにしなさい」とも言う。
これは一般的な意味での公私混同ではなく、
公のことを自分のことのように真剣に考えるという意味。
個人がチームのことを自分のことのように考えていなければ、チームはよくならない。
これからのチーム論としてはそういうことが大事になってくると思う。

ラグビーでも、いいチームはレギュラーから控えの選手まで非常に意識が高い。
試合に出ていない人間までが「俺はチームのために何ができるか」ということをいつも一所懸命に考えている。
その原点は何かというと自発性(内発的動機)にある。
これをいかに高めるかということが重要。

これらは自分の中から持ち上がってくる力だから、命令形では高められない。
これをうまく引き出すことが、これからのチームの指導者には必要になってくる。

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これはスポーツだけではなく、仕事、教育についても同じことが言えます。

このような「自発型(内発型)」の組織づくりは、指導者からの発信や説得ではうまくいきません。
なぜなら、その時点で「指導者の力」=「外発(アメとムチ)」が作用するからです。

対話によって、引き出し、考えてもらい、自ら気づく。
粘り強く関わり、自律自走するまで支援する。

このプロセスが、一人ひとりの自発性・主体性を育み、「自発型(内発型)」の組織文化を醸成していきます。

短期的な結果が求められる中で、すぐに結果が見えてこない長期的な取り組みを継続的にすることは簡単ではありません。
しかし、このようなプロセスを踏んでいる組織が、継続的に成果を出しているのも事実であります。

 

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