人と組織の”葛藤”物語

整えるという仕事

最近、仕事部屋の掃除をしました。

机の上の資料を整理し、棚のファイルを並べ直し、使っていない文具を引き出しから取り出す。

ただそれだけのことですが、その時々で必要なものがどこにあるか自然とわかるようになり、仕事に集中しやすくなりました。仕事中の心も以前より落ち着いてきた気がしています。

空間を整えることで、頭の中まで整理されていくような感覚を持ちました。

そしてふと気づきました。私の仕事も、実は同じことをしているのだと。

資料やデータを整えているとき、私はよく掃除をしているような気分になります。

余分なものを取り除き、必要なものを見やすく配置する。

ただ片づけるのではなく、情報を通して伝えたいメッセージがいちばん伝わりやすい形に整えていく。

整えるとは、単に不要なものを減らすことではなく、意味を見つける作業だと思うのです。

こまごまとした数字のデータを何桁でどう表示するか、コメントをどのように配置するか。

その小さな判断の積み重ねで、伝わり方は驚くほど変わります。

少し位置を動かすだけで視線の流れが自然になり、読んだ人の理解がすっと深まる。

整えることは、誰かの頭の中にメッセージを受け取り、自身の考えを深めるための道筋をつくる作業でもあります。

そして整えながら、私はいつも受け取る人の存在を想像します。

資料を開いた瞬間、どの情報に目が行き、どんな順番で内容を理解していくのか。

その人が「わかりやすい」と感じてくれ、その人なりにメッセージを受け取ってくれたときに、初めて整えるという仕事は完成するのだと思います。

整っている状態とは、誰かが違和感を持つことなく自然にすっと受け取れる状態。そして、受け取ったものに自分なりに確かな意味を見出せる状態なのだと思います。

私自身、仕事へ向かう姿勢を整えながら、これからも受け取る人のことを思い、データや資料を整えていきたいと思います。