人と組織の”葛藤”物語

【第11回】SF 達成欲:止まれない力を、整える力に変える

社会人スタート時代、アクセル全開だった頃

社会人になりたてのころ。

残業OK、終電で帰れないのがなんとなく誇りでした。

朝はきちんと出社して、スケジュールがびっしり埋まっていると嬉しい。

「これだけ仕事を任されている自分」が、何よりの自信でした。

仕事を詰め込みすぎて、毎日がタスクとの戦い。

でも、ぎりぎりの中で一つひとつをこなしていく感じがたまらなかった。

障害対応で泊まり込みになったときは、むしろテンションが上がっていたほどです。

振り返れば、あれが“達成欲全開モード”でした。

結果を出す快感と、「やり切った自分」に酔える感覚。

そのエネルギーが、当時の私を確かに動かしていたんです。

「整っている幸せ」を知った今

でも今は、少し違います。

仕事もプライベートも、感情も体調も整っているときの方が、ずっと幸せ。

達成欲だけで走り続けると、“仕事以外”の大事な時間が、いつの間にか失われていくと気づきました。気持ちよく達成したあと、ふと家に帰ると、「この達成の先に、自分の幸せはあるのかな?」と感じる瞬間があったんです。

それ以来、「達成」だけを目的にせず、“どう整えて進むか”を意識するようになりました。

いまは、スケジュールを詰め込むよりも、空白をどう使うかを考える方がワクワクします。成果を積み上げるよりも、意味を積み重ねる。

そんな「達成欲のアップデート」を実感しています。

達成欲をコントロールするという成長

達成欲は、止まらないエンジンのようなもの。

かつてはアクセルを踏み続けることが“努力”だと思っていました。

でも今は、スピードを緩めたり、ギアを切り替えたりできる方が、結果的に遠くへ行けると感じます。

達成した瞬間の気持ちよさは、今も大好きです。

でも、それだけじゃない。

視野を広げたり、時間軸を伸ばしたりしながらとらえ直すと、達成欲を整えること自体が、新しい幸せを生み出すと分かってきました。

■おわりに

達成欲は「動き続ける力」。その力を上手に整えると、人生のリズムそのものが豊かになります。

かつては“頑張ること”が幸せだったけれど、

今は“整いながら頑張ること”が心地いい。