ある時期から、後輩の女性たちに、こんな質問をされることが増えました。
「更年期の時って、仕事とどう折り合いをつけていたんですか?」
最初に職場で聞かれたときは、とても驚きました。
私自身、会社員時代に「更年期」について職場の先輩と話した経験が一度もなかったからです。
もちろん、会社を卒業した先輩とプライベートで話をする機会はありました。
けれど、それもごく限られたものでした。
そもそも私の世代は女性の先輩自体が少なく、女性特有の体の変化について相談するという発想もありませんでした。
だから最初は驚いたのです。
でも、その驚きの後に、別の感情が湧いてきました。
それは「嬉しさ」でした。
仕事と子育ての両立について相談されることは、以前からありました。
「子どもが小さいうちはどうしていましたか?」
「仕事との両立はどう乗り越えましたか?」
そんな相談を受けるたびに、女性が働き続けるためのロールモデルが少しずつ増えてきたことを感じていました。
そして今度は、
「更年期の時って、どうしていましたか?」
ついにこの質問が来たか――。
私は心の中で、小さくガッツポーズをしました。
なぜなら、この質問はある程度年齢を重ねた先輩にしかできない質問だからです。
外からは見えない。
経験した人にしか分からない。
そして、なかなか聞きにくい。
そんなテーマを、後輩が勇気を出して聞いてくれた。
それがとても嬉しかったのです。
相談を受けたときには、自分の経験を率直にお話しします。
ただ同時に、
「つらいなら専門医に相談した方がいいよ」
とも伝えています。
更年期の症状は本当に人それぞれです。
だからこそ、一人で抱え込まず、いろいろな人に相談することが当たり前になればいいと思っています。
ところで、この質問を受ける場所には、ある共通点があります。
それは、ほとんどの場合が「お化粧室」だということです。
化粧直しをしているとき、
二人きりになったタイミング、、、
なぜか会議室ではなく、お化粧室なのです。
もちろん、それも一歩前進です。
でも、できればもう一歩進んでほしい。
更年期は特別な人だけの話ではありません。多くの人が通る道です。
そして、それは仕事との向き合い方にも関わるテーマです。
だから本当は、もっと自然に職場で話せるようになってもいいのかもしれません。
そういえば以前、私の上司だった男性が、フロア中に聞こえるような大きな声でこう話していたことがありました。
「色んな病院を回ったんだけど、結局、更年期だったんだよ!男にも更年期ってあるんだなあ。 」
その上司は私より2つ年上で、私の昇進も応援してくれた人でした。
当時はただ驚いただけでしたが、今になって思います。
もしかすると彼は、
「こういうことは隠さなくていいんだよ」
というメッセージを、私たちに送ってくれていたのかもしれません。
女性活躍が進んだことを示す数字はたくさんあります。
女性管理職比率、女性役員比率、育休取得率、、、
どれも大切です。
でも私は最近、それとは別の指標があるような気がしています。
それは、
「聞きにくかったことを、自然に聞けるかどうか」
更年期のこと、介護のこと、病気のこと、キャリアへの不安のこと、、、
そんな話を安心してできる職場が増えること。
それもまた、女性活躍が進んだ証なのではないでしょうか。
