人と組織の”葛藤”物語

資料作成という、静かな仕事に込める思い

みなさんこんにちは。IK!IK!で主にデータ資料作成を担当している東矢咲(とうや さき)と申します。

私の仕事は、企業研修などで使用されるデータ資料の作成です。紙の配布資料やパワーポイントのスライドなど、形式はさまざまですが、どれも「学び」や「気づき」を引き出すきっかけになるように心がけながら制作しています。

資料作成という仕事は、地味で目立たないものです。講師のように人前に立つこともなければ、拍手を受けることもありません。ひとり机に向かって、文章の言葉づかいを調整したり、図の配置を何度も見直したりと、地道な作業の連続です。仕上がった資料を誰かがどのように受け取るのかを直接見る機会も、ほとんどありません。

実際、IK!IK!のクライアント企業の研修で使われる資料は、受講者のみなさんの目に触れるのはほんの一瞬かもしれません。配布された紙の資料も、必要な部分だけ見られて、すぐに処分されてしまうことだってあるでしょう。

それでも、私はこの仕事をとても大切に思っています。たとえ一瞬であっても、その中の一文や図が、誰かの心に残ったり、考えを深めるきっかけになるかもしれないからです。

また、IK!IK!には、講師として前に立つメンバーや、クライアント企業や受講者と真摯に向き合っている仲間たちがいます。私は、そうしたメンバーが届けたい想いやメッセージを、データ資料という形で支えたいと考えています。現場の仲間たちとの対話し、受講者にとって研修の時間が実りあるものになることを願いながら、限られた紙面やスライドの中にできるだけの工夫を込めています。

資料をつくるうえで私が大切にしているのは、「誰に向けて何を伝えたいのか」を明確にすることです。ただ情報を並べるのではなく、読み手の立場や状況を想像しながら、その人にとって必要なことや大事にしてほしい視点を、適切な順序と表現で届けることを心がけています。言葉だけでなく、図や表も用いながら、誰かの頭の中に知りたい情報や重要なメッセージがすっと入り、あとからふとした瞬間に思い出してもらえるような資料を目指しています。

この仕事を始めてからというもの、私はまだ出会ったことのない多くの人たちの存在に思いをはせるようになりました。自分が作った資料を通じて、どこかの誰かが学んだり、考えたりして、自分の成長につなげてくれるかもしれない。そんなふうに想像することが、私自身の励みにもなっています。

そして同時に、自分もまた、日々たくさんの人に支えられながら生きているのだということを、以前より強く意識するようになりました。

そんな私にとって大切な一曲が、大好きで長年応援しているMr.Childrenの「彩り」です。この曲の中には、こんな一節があります。

学生時代はなんとなくいいなとぼんやりとしか理解できなかったこの歌詞が、この仕事をしている今は、自分のことだと感じられるようになりました。表には見えないけれど、誰かの小さな笑いや前向きな気持ちにつながるかもしれない。そんなふうに思えるからこそ、私は今日も小さな誇りを胸に仕事を続けています。

何気なく手に取った一枚の資料が、誰かの気づきや学び、前に進むきっかけとなることを願いながら、これからもこの仕事に向き合っていきたいと思います。