
先日、夏の甲子園を観に行ってきました。
真夏の太陽の下、満員の観客に包まれた球場に足を踏み入れた瞬間、空気が一変するのを肌で感じました。
試合開始のサイレンが鳴り響くと、球場全体が一気にその世界に引き込まれました。
打席に立つ選手の緊張した背中、投手の一球に込める真剣な眼差し。
グラウンドの中では一瞬一瞬が勝負であり、その積み重ねの先にしか次の瞬間は訪れません。
観客の心を動かすのは、勝敗よりも「その一瞬にすべてを懸ける姿」です。
バントを決めた選手の安堵の笑み、ファインプレーのあとに仲間と抱き合う姿、エラーをして悔しさに唇をかむ姿。
勝ち負けの先にある「人としての感情」が、スタンドの私たちに真っすぐ届きます。
・人事の現場で思い出したこと
その光景を見ていて思い出したのは、以前、ある部署異動に立ち会ったときのことです。
本人にとっては「希望していた仕事ではない」異動でした。打ち合わせの場で彼は、「納得はできないけど、今やれることは全力でやるしかないですね」と、少しうつむきながら話してくれました。
正直、人事としては胸が痛む瞬間でした。組織の事情もあれば、本人のキャリアの想いもある。
その狭間に立つのが人事の役割ですが、どちらの気持ちも理解できるからこそ葛藤します。
けれど、数か月後に再会したとき、彼は「今の部署でしか学べないことがあると気づいた」と話してくれました。
瞬間瞬間を全力で向き合う中で、表情が変わっていったのだと思います。
・共通するもの
甲子園の球児たちも、異動に向き合った彼も、先の結果を考えれば不安や悔しさはあるはずです。
それでも、雑念を横に置いて「次の一球」「次の一歩」に集中する。その積み重ねが人を成長させ、周囲の心を動かしていく。
人事の現場には、常に「成果」と「瞬間」の狭間で揺れる姿があります。
大切なのは、その葛藤を一緒に受け止め、次の一歩に寄り添えること。
甲子園で感じた熱気は、職場で日々繰り広げられる小さなドラマともつながっていると感じました。
私自身も、未来の数字や成果に目を向けながら、同時に「今この瞬間にどう向き合うか」を大切にしたい。そう思わせてくれる、真夏の甲子園でした。
