栄木の”ひとり言”

【第216号】1155円のステーキ丼が教えてくれたこと

この3連休、京都の「佰食屋(ひゃくしょくや)」に初めて行ってきました。
実は2019年に同社社長の中村朱美(なかむら あけみ)さんの本を読んで以来、ずっと行ってみたいと思っていたお店です。
今回の京都旅行では、ついにその念願が叶いました。
まさに今回の旅のお目当てです。

注文したのはもちろん、名物のステーキ丼。お値段は1155円。
一口食べた瞬間、「あ、これ、1155円でいいんですか?」と心の中で思わず店主に確認しそうになりました。
柔らかい肉、甘辛いタレ、ご飯との相性が絶妙で、シンプルながらも記憶に残る味わいです。
さらに印象的だったのは、接客の温かさ。
どこか家庭的で、心がほっとするような対応でした。

「佰食屋」とは、1日100食限定のビジネスモデルで知られる飲食店です。
一般的に「もっと売上を増やそう」というのがビジネスの常識ですが、佰食屋はあえて売上の上限を設定し、従業員の労働時間を短縮。
これにより、残業なし・定時退社を実現し、持続可能な経営を続けています。
食品ロスも最小限に抑え、効率的かつ無理のない働き方を体現しています。

ステーキ丼を頬張りながら、ふと考えました。
佰食屋の考え方は、どこかIK!IK!(当社)の目指すものと通じる部分があるのではないかと。

佰食屋が「1日100食」にこだわるように、IK!IK!も「数」ではなく「質」を重視しています。
「ご縁させていただいたクライアントの成果にとことんこだわる。」
目先の数字ではなく、人と組織がいきいきと働ける環境づくりに全力を注いでいます。

ふと、こんな会話が頭に浮かびました。

佰食屋:「うちは100食しか売らない。でも、その100食に全力を注ぐんだ。」
IK!IK!:「うちは100社も追わない。でも、その1社1社に全力を注ぐんだ。」

どちらも「たくさん売ること」や「数をこなすこと」を目的とせず、「ひとつひとつの価値を高めること」にこだわっている点で共通しています。

もちろん、こうした考え方に対しては、「それは理想論だ」という反論もあるでしょう。
例えば、「佰食屋のように売上を制限しても、全ての企業が成り立つわけではない」とか、「IK!IK!ももっと多くのクライアントを支援すれば、より大きなインパクトを生み出せるのではないか」という意見もあるかもしれません。

確かに、どんな企業も利益なしには存続できません。
ですが、佰食屋もIK!IK!も、単に「数を減らす」ことが目的ではありません。
大切なのは「無理をしすぎず、長く続けられる仕組み」をつくることです。
佰食屋の場合は、100食に限定することで従業員が無理なく働ける環境を実現し、結果的に安定した利益を確保しています。
IK!IK!の場合は、クライアントの数を追い求めるのではなく、一社一社に深く関わることで確かな成果を生み出し、その実績がおかげさまで次の依頼につながるという好循環を生み出しています。

つまり、「量より質」を追求することは、単なる理想論ではなく、むしろ持続可能な成功への現実的なアプローチだと考えます。

あのステーキ丼を食べて心が満たされたのは、単においしかったからではありません。
そこには、料理を作る人の想いや、お客様を大切にする姿勢が詰まっていたからこそ、満足感が生まれたのだと思います。

IK!IK!も同じように、ただ「結果を出す」だけではなく、関わる人たちの心に残る価値を届けていきたい ―― 1155円のステーキ丼を通じて、改めてそう感じました。

次はどんな「気づき」が待っているのか。ごちそうさまでした。