栄木の”ひとり言”

【第262号】「キャリア」ってなんだ?

新年早々、とある企業に「キャリア」をテーマにしたウェビナーを行いました。

キャリアデザイン、1on1、自律的な働き方…。
このウェビナーは、自身のキャリアを振り返る良い機会にもなりました。

「あぁ、今の自分は、ここで引っかかっているんだな」
「本当は自分はこうしたいんだな」
そんな感覚が残りました。

キャリアの話をするとき、筆者はよく「OS」という言葉を使います。
OSとは、Operating System の略。

パソコンでいえば、
資格やスキル、職歴などは「アプリ」。
一般的に言われる“キャリア”です。

一方、OSは、
それらすべてを裏側で動かしている土台。

より良いキャリアを築くために本当に大事なのは、
アプリを増やすこと以上に、
自分のOSを、どれだけ解像度高く理解しているかです。


人で言えば、
自分を無意識に突き動かしているもの

短期的には、
思考パターンや判断のクセ、言動として表れます。

・つい、同じことでイラっとする
・また同じところで迷う
・分かっているのに、同じ選択をしてしまう

でも、OSの影響が本当に大きいのは、
もっと長い時間軸です。

どんな仕事を選ぶのか。
どんな人と関わるのか。
何に挑戦し、何を避けるのか。

自分でも気づかないうちに、
人生の流れそのものをつくっていきます。

このOSの話、
少したとえ話をしてみます。

登山に置き換えてみると、
同じ「山に登る」でも、人によって大事にしているものは違います。

標高の高い山に登りたい人
 しんどくてもいい。挑戦や達成感を大切にする。

誰と登るかを優先したい人
 山の高さより、信頼できる仲間との関係性。

自分のペースで登りたい人
 速さや比較より、納得感や持続性。

景色を味わいながら登りたい人
 頂上だけでなく、登山(人生)そのもののプロセスや意味を大切にする。

安全に、確実に登りたい人
 計画性や予測できる環境に安心する。

どれが正しい、という話ではありません。
OSとは、「自分は何に一番突き動かされる人間なのか」という話です。

ここで、少し立ち止まって考えてみたいことがあります。

自分は、いったい何に突き動かされる人間なのか

たとえば──

  • お金を稼ぐことに、強く反応するタイプか
  • 家族との時間を守れるかどうかが、判断の軸になるか
  • 誰かや社会への貢献とそこから得られる喜びが、原動力になるか
  • 自由な時間や裁量があるかどうかを重視するか
  • お金はそこそこでいいから、趣味や好きなことに没頭したいか
  • 社会問題の解決に関われるかどうかを大事にしたいか など

どれが立派で、どれが劣っている、という話ではありません。

人は突き動かされるポイントが違います。

そして多くの場合、
この「自分は何に突き動かされるか」を
はっきり言葉にしないまま、進路や仕事を選んでしまいます。

つまずくのは、
自分がどの山を望んでいるのか分からないまま、
「みんなが登っているから」と、
誰かの山に登らされているとき。

あるいは、
頭では「高い山」を目指しているつもりなのに、
心は「誰と登るか」を求めているとき。

このズレが、
モヤモヤやイライラ、
そして人生の停滞感を生みます。

うまくいっているときは、
キャリアやOSについて、無理に考える必要はありません。

仕事が回っていて、
人間関係も大きな問題がなく、
日々がスムーズなとき。

OSは、正常に作動しています。

でも、
悩みが生じているとき、
何かに躓いているとき、
うまくいかない感覚が続くときこそ、
OSを見直す良いタイミングです。

OSが分かっていないと、
なぜしんどいのか説明できず、
他人に攻撃的になったり、
急に自信を失ったり、
強い言葉や流行の価値観に振り回されやすくなる。

だからこそ必要なのは、
自分なりの判断の拠り所。

それが、OSです。

OSが分かると、
選択に意味づけができる。
迷いが減る。
納得感が残る。

何より、
人生を自分で操縦している感覚が生まれます。

最後に、問いを置いて終わります。

・今の自分は、どんな山に登ろうとしていますか?
・それは、本当に自分が望んでいる山でしょうか?
・自分は、何に一番突き動かされる人間でしょうか?

キャリアに正解はありません。
でも、自分のOSに気づくことは、
これから先を、少し楽に、少し誠実に生きる助けになります。

新年のこのタイミングで、
少し立ち止まって、
自分のOSをのぞいてみる。

そんな時間になれば嬉しいです。