栄木の”ひとり言”

【第168号】「未来の仲間」からの学び

4月から、当社に新たに仲間が加わります。

彼(仮称:Aさん)は、30前半にして脱サラをして独立をします。

独立した者同士が共通の目的(志)でつながる新しい働き方です。

彼自身の原体験に基づく、「世の中をもっと良くしたい」という想いと本気度に共鳴しました。

引く手数多(あまた)もの経歴に思ったので、
「なぜ、この年齢にしてリスクを冒してまで独立するのか?」
と尋ねたところ、大手広告代理店に勤めていて、現在独立している父親の影響があったそうです。

そこで、筆者自身刺さった言葉があるので紹介します。

父親が、息子であるAさんに伝えていた仕事の極意、

それは、

「お客様以上に、お客様のことを考えろ。」

ということでした。

シンプルですが、仕事の本質を突いた言葉に感じました。

「お客様のために」と言うのは簡単です。
ただ、その人(会社)が本当にお客様のことを思っているかそうでないかは、「いざ」というときに分かります。

特に、(筆者の生業でもある)「人に関する問題」を扱う仕事は、複雑化し、一筋縄ではいかないことが増えています。
だからこそ、深いレベルでお客様の声に耳を傾けて、真の課題解決を図っていく姿勢が問われます。

そういった意味では、仕事においては「ごまかしのきかない世の中」になってきていると言えます。
「売り手」より「買い手優位」の時代だからこそ、なおさらです。

誤解のないように申し上げますと、
「365日、仕事やお客様のことを考えよ」と言いたいわけではありません。

ここで申し上げたいことは、
「自社(自分)の利益のことよりも、お客様の利益を考える」ということです。

「自社の業績目標達成に血道を挙げる」のではなく、
「お客様の成果貢献に血道を挙げる」ことが、より問われてくるということです。
それが、結果として自社の利益につながってきます。

これまでの資本主義社会は、「弱肉強食」で成り立ってきました。
その根底にあるのは「自社が生き残ること、自社が拡大すること」にあります。
それ自体が「悪」と申し上げるつもりはありません。

ただ、拡大すればするほど、その巨体を維持するために「自社の利益を保つこと」に考えが及びがちになります。

これまでの時代は、それでも何とかなったかもしれません。
ただ、10年後20年後の未来から見たとき、「小さくても、お客様以上に、お客様のことを考える人や組織」は確実に増えていきます。
いや、実際に今、そうなってきています。
そうなると、「大きいこと」は必ずしもメリットではなく、ホンモノの小さい組織に「パイ」を奪われてしまい、結果として自らの首を絞めてしまうことにもなりかねません。

昔であれば、大企業は「信用」を重視し、個人でやっている企業には仕事は依頼せず、会社の規模や知名度で取引をしていました。
ですが、今やその流れは変わりつつあります。

お客様も失敗したくありません。
だからこそ、ブランド(信用)もさることながら、ホンモノ(信頼)を求めているように感じます。

「ブランドがあるから、良い仕事をする」とは限らないことを、お客様も実感しています。

だから、お客様もパートナー選びには慎重です。

「この人は、本当に私たちの悩みを解決してくれるだろうか?」

今働く人たちに問われるのは、
「お客様以上に、お客様のことを考えられるかどうか」と感じます。

「ぬるま湯感覚」では、ますます通用しにくくなる厳しい環境とも言えます。

ですが、これは決して悲観的なことではありません。
人として成長する絶好の機会です。
このチャンスをものにした人が、これからの社会で必要とされる人になると筆者は感じます。