
今から約15年前、旅行会社に在籍していたときの話です。
社の全体会議で、パネルディスカッションを実施した際、パネラーとして登壇する機会がありました。
テーマは、
「もし、あなたが社長だったら、今の会社をどんな会社にしたいですか?」
筆者は、
「予算目標のない会社です」
と迷わず答えました。
当時、社長も同席していたこともあり、会場がだいぶざわついた記憶があります。
「企業は利益を上げることが至上命題である以上、予算目標はあって当然」
「上場企業であれば、四半期ごとの予算目標に対する結果で株主に評価されるわけだから、予算目標はあって当然」というのが世の中の常識です。
確かに企業の論理、資本主義の観点で考えればその通りです。
ですが、「数字は私たちを幸せにしているだろうか?」
この問いに対しては、どうしても疑問符がついてしまいます。
ノルマや数字に縛られず、純粋に「顧客への価値提供」に全力で取り組める環境こそが、社員一人ひとりのパフォーマンスを最大限発揮させ、自社の成果にもつながると筆者は考えています。
数字を追いすぎると、どうしても「いかに売るか?」「いかに高単価・高収益のものを売るか?」という「自社視点」に陥りがちです。
結果として、短期的には成果が出るかもしれませんが、持続的な力にはつながりにくいものです。
一方で、「どうしたら顧客に価値を届けられるか?」という問いを持てば、社員は自然と「顧客視点」で考えるようになります。
顧客の問題を的確に捉え、真の課題解決策を提案し、責任感のある対応を心がけることで価値提供につながります。
そして結果的に「稼ぐ力」の醸成にもつながると考えます。
もちろん、数字や予算目標が完全に不要というわけではありません。
しかし、それはゴールではなく、あくまで結果論と考えます。
最近、ある仲間が、「それでも組織の方向(数字)を向くのがサラリーマンですね…」とぼやいていました。
確かに、達成しないと評価されない実情を考えると、そうなる気持ちも理解できます。
ですが、時代は明らかに変わりつつあります。
なぜなら、いわゆる「サラリーマン根性」では、悩みの根が深い現代社会の顧客ニーズには応えられないからです。
当事者感覚を持ち、顧客の問題を自分ごと化して考え、
既存の枠に囚われず、最適な解決策を提案する…。
このような心構えでいられたら、もう予算目標(数字)に縛られる必要はありません。
筆者の会社では、社員がこうした働き方を実現できるよう、自由と自律を重視した仕組みを取り入れています。
IK!IK!は、「予算目標のない会社」です。
極力「縛り」は設けず、目的の実現に向け一人ひとりの自律性と良識を尊重しています。
結果としてではありますが、おかげさまで業績は右肩上がりです。
これからも、「新時代の組織」の実現に向け、未来ある若者が「IK!IK!で働きたい」と思ってもらえる会社を目指して邁進していきます。