栄木の”ひとり言”

【第205号】仕事とは「繰り返し」だからこそ…

本日(12/8)、出張の旅路での出来事です。

飛行機で松山へ向かう道中、ベテラン客室乗務員の対応に温かみを感じ、「いい旅だったな」と心がほぐれました。
にこやかに「何か温かいものは飲まれますか?」と声をかけてくれました。
その一言がなんだか嬉しくて、心も温かくなりました。

一方で、松山空港から目的地へ向かうリムジンバスでは、不機嫌オーラを漂わせたドライバーさんに遭遇しました。
バスの中では険しい表情のまま運転し、直前の急ブレーキ。すれ違うドライバーさんが挨拶をしても無視。
そんな姿を見て、「大丈夫かな…」と少し居心地の悪さを感じました。

この対照的な経験から、「同じ仕事なのに、なぜ、ここまで人によって差が生まれるのだろう?」と考えさせられました。

仕事とは、「繰り返し」の連続です。

客室乗務員は、おそらく何百回、何千回と同じ説明をし、ドリンクを提供しています。
バスのドライバーさんも、何百回、何千回と同じ道を走っています。
ラーメン店主であれば、スープの仕込みを毎日繰り返し、老舗ともなれば10000回を超えるかもしれません。
学校の数学の先生はどれだけ「方程式」の説明を繰り返したことでしょう。
プロ野球選手も、年間143試合、20年間で3000試合近くになります。同じスイングやキャッチを繰り返しています。

「同じことをやって飽きないのか?」

その答えは、「どこに心を置くか?」にあるのかもしれません。

もし、上からの指示で「やれと言われたからやる」という心の置き所であれば、「また同じことの繰り返し。つまらない」と思うでしょう。
こうなると、仕事への意欲が湧かず、上達もあまり見込めません。

一方、「生活のためにやる」という心の持ちようであれば、「家族のため」「夢を叶えるため」という責任感や目標がモチベーションになるでしょう。
ただし、それが充足された後、繰り返しを続けるモチベーションを保つのは難しくなるかもしれません。

では、「この仕事自体に喜びを感じる」という心の置き所だったらどうでしょう?
客室乗務員であれば、「一期一会の感覚で、一人でも多くの乗客に良い旅を演出したい」という思い。
バスのドライバーさんであれば、「一人ひとりの大切な命を運び、人と人をつなぐ」という使命感。
ラーメン店主なら、「一杯のラーメンでお客さんに喜びを感じてもらいたい」という情熱。
数学の先生なら、「一人でも多くの子どもに数学の楽しさを伝えたい」という願い。
プロ野球選手なら、「自分のプレーで観客に感動を与えたい」という想い…。

最近、若手社員が「上司ガチャ」「配属ガチャ」「自分のやりたいことではない」という理由で早期に退職するケースが増えていると感じます。
確かに、環境や仕事内容が合わないこともあります。しかし、次の職場でも同じような繰り返しに直面することがほとんどです。
そこで必要なのは、外部環境を変えるだけでなく、自分の「心の置き所」を見直すことではないでしょうか。

冒頭の客室乗務員とバスドライバーの例がそれを物語っています。
仕事にどう向き合うかが、自分の内的な充足感を決め、さらには他人への影響も大きく変えます。

明日(12/9)、終日の対面研修を担当します。
伝える内容は毎回ほぼ同じですが、「どうしたら、今日の受講者のみなさんが受けて良かったと思ってもらえるか?」ということを問いかけています。
一期一会の感覚で、明日も精一杯努めたいと思います。

最後に、読者のみなさまに問いかけたいと思います。

「あなたの仕事の心の置き所はどこですか?」