栄木の”ひとり言”

【第269号】「時間がない」という悩みの正体

先日、筆者は2年目社員向けの「自律(セルフマネジメント)」に関する研修を行いました。

人間関係の悩みが多いだろうと思っていましたが、
実際に最も多かった声は、

「時間がない」

でした。

やることが多い。
優先順位がつけられない。
余裕がほしい。

休憩時間になっても、多くの人がパソコンやスマートフォンを開き、
メールを返し、仕事を処理していました。
研修中にも上司から指示が飛んできたという人もいました。

確かに、時間は足りないように見えます。

しかし筆者は、こう伝えました。

「時間がない」というよりも、
「アクセルを踏みっぱなしの状態になっているだけです」と。

車の運転に例えれば、高速道路を休まず走り続けている状態です。
サービスエリアにも寄らず、ただ前へ前へと進み続ける。

通知に反応し、
メールに即返信し、
次の仕事へ移る。

現代の仕事は速い。
速さは必要です。

けれど、アクセルを踏み続けていると、
一番怖いことが起きます。

「感じなくなること」です。

運転していても、きれいな夕焼けに気づかない。
目的地と目的地だけを結ぶだけのドライブ。
疲れているのに、そのサインを見落とす。

みなさまも、こんなことはありませんか。

観光地で景色を味わうよりも、
効率よく回ることを優先してしまう。
景色を感じるよりも、写真に収めることに集中する。
気づけば、思い出よりも写真だけが残っている。

仕事も同じです。

速さに支配されると、人は自動運転モードになります。

面倒で厄介な仕事を後回しにし、
処理しやすい仕事に逃げます。

その結果、仕事は溜まり、
頭の中には「気がかり」が増えていきます。

そしてまた「時間がない」と感じ、
さらに速く走ろうとする。

まるで回し車の上を走り続けるラットレースのように、
走っているのに、前に進んでいる実感が持てない状態です。

効率ばかりを追い、
目の前の人の微妙な変化に気づけなくなる。
仕事は「人の心」を扱っているにも関わらず、です。

だからこそ筆者は、
日常生活の中で、意図的にブレーキを踏む時間が必要だと考えています。

立ち止まり、感じる。
違和感に気づく。

何に時間を使うのかを選ぶ前に、
まずは「いま、自分はアクセルを踏みっぱなしになっていないか」と気づくこと。

時間を効率的に回すことがタイムマネジメントではありません。

自分のアクセルとブレーキを、自分で扱えているかどうか?

「時間がない」を「余裕がある」に戻すヒントは、実はこんなところにあったりします。