栄木の”ひとり言”

【第198号】神メンタル?

筆者が応援している、あるプロ野球選手が、クライマックスシリーズでの敗戦を機に「来年は『心技体』とも鍛えなおしたい」と言っていました。

技術と体力は分かりやすいですが、「心を鍛える」というのは捉えどころがないように思います。
また、心というものは気まぐれで常に変化するので、「メンタルは十分鍛えられた」と思っても、スルリと抜けていってしまいます。

それでも、「メンタルが強い」と言われる人がいます。
筆者も仕事柄、「精神性の高い状態=『神メンタル』って一体何なんだろう?」とあれこれ思いめぐらすことがあるのですが、最近、ある考えに至ったので紹介いたします。

それは「0(ゼロ)ベース」で物事を捉えることです。
(ここでは「0ベース思考」と言うことにします。)

いわば「無の心」です。

漫画・鬼滅の刃で、

「無一郎の『無』は、『無能』の無ではなく、『無限』の無だ」

というセリフが筆者の心の中に残っていますが、まさに「0(無)ベース」で生きることは、無限の可能性が広がってきます。

「0ベース思考」を身に着けることのメリットは以下の通りです。

1.「感謝」
何もない。(0)
だからこそ、あるものに「感謝」ができます。
2.「挑戦」
失うものがない。(0)
だからこそ、果敢に「挑戦」できます。
3.「ニュートラルな視点」
先入観を持たない。(0)
だからこそ、ありのままに、ニュートラルに相手のことが見えてきます。
4.「マインドフルネス」
頭の中が空っぽ。(0)
だからこそ、夢詰め込めます。(byドラゴンボール)
…というのは冗談ですが、雑念や悩みで覆われていないからこそ、心が満たされます。
5.「自律」
頼るものはない。(0)
だからこそ、何事も自分で何とかしようとします。
6.「比べない心・学ぶ心」
自意識がない。(0)
だからこそ、誰とも比べる必要はないですし、誰からも学び取ろうとする心になれます。
7.「焦らない心」
時間の概念が無い。(0)
だからこそ、焦る必要はありません。
存在するのは、「今、この瞬間」です。
ですが、これが結果として高い集中力を生みます。

結果として、「0ベース思考」でいれることが、無限の可能性を手にすることにつながります。

では、筆者が常にそのような心でいられるか?といったら残念ながら「NO」です。
頭では分かっていても、心はどうにもしがたいのが人間です。
いつのまにか、「0ベース思考」がどこかに行ってしまって、気がついたら「10」にも「100」にも思考が膨れ上がってしまってしまうことがあります。

自分の心の奥底を覗くと、そこにあるのは「もっともっと」というものです。
1を10にしたい、10を100にしたい…という心です。

「もっと効率的に仕事を進めたい」
「もっと稼ぎたい」
「もっと美味しいものを食べたい」

2つ目は「~たくない」というものです。
やっと手に入れた100を10に減らしたくない…というような心です。

「財産を失いたくない」
「立場を失いたくない」
「積み上げてきたものを失いたくない」

3つ目は、「~しなければ」というものです。
10を100にするために、あるいは100をキープするために、〇〇しなければ…という心です。

「宿題をやらなければ」
「今日は、あれもこれもやらなければ」
「期待に応えなければ」

「もっともっと思考」「~たくない思考」「~しなければ思考」が、いつの間にか「0ベース思考」を妨げていることに気づきました。

しかも、この3つの思考は「生存本能」と直結しています。
だからこそ、気が付けばこの3つの思考がいつの間に自分の頭の中を覆っています。

「もっともっと思考」「~たくない思考」「~しなければ思考」を悪者にするつもりはありません。
ただし、注意すべきは、この3つの思考は「自分の首を絞める」という「副作用」が伴う点です。

「もっともっと思考」「~たくない思考」は、利己的な視点と結びつくと、思い通りにならないときにネガティブ感情と結びつき「自滅」につながります。
「~しなければ思考」は、度が過ぎればストレスの原因ともなります。

だからこそ、この3つの思考が入ってきたことを「自覚」し、うまく付き合っていくことが大切だと思います。

「もっともっと思考」「~たくない思考」は、「自分以外の『他を利すること』に向けていく」ことに転換すると良いでしょう。

「もっと貢献したい」「もっと楽しませたい」「もっと喜んでもらいたい」
「悲しませたくない」「嫌な思いをさせたくない」「迷惑をかけたくない」

「~しなければ思考」については、「~しなければと思わずに、する」感覚を持つをとうまくいきます。
ワンクッション置かずにアクションに映せるからです。

こうして、3つの根源的な思考をうまく処理したのちに、「0ベース思考」を自分の中に取り入れることで、物事がうまく循環するように思います。

それが結果として自己成長や周囲の幸せにもつながってくると考えます。