
会社を起業して、もうすぐ5年が経ちます。
最初は、自分の力で会社を動かす自由や、稼ぎがダイレクトに自分に返ってくる感覚にワクワクする日々でした。
「これからはしがらみや束縛から解放されて、自分の思うままにやれるんだ!」という解放感があったものです。
経営者と聞くと、豪華な車に乗って、別荘で過ごし、ゴルフを楽しみながら世界中を旅する、そんな生活を想像する方も多いでしょう。
筆者も、独立したばかりの頃は少しはそんな「憧れ」を抱いていました。
しかし、実際に経営を続けるうちに、その想いはどんどん薄れていきました。
今では、経営者としての役割や喜びは「別のところ」にあると感じています。
「経営者は『底辺』から社会を支える仕事」
これが今の筆者の実感です。
メンバーが目の前のお客様や世の中を支え、そのメンバーを管理職が支援する。そして管理職をさらに支えるのが経営者の役割。
つまり、経営者が担うのは「一番泥臭い仕事」なのです。
表に立つリーダーというより、裏方としてメンバーや管理職が力を発揮できる環境を整えることが、今の時代に求められる経営者の姿です。
筆者も、経営を始めた当初は「自由に稼げるし、経営者ってかっこいいな」と思っていました。
しかし、現実はもっと地道なもの。
3連休やお盆、正月であろうと、生活の中心は「仕事」。
悠々自適とは程遠く、実際は地道な積み重ねが求められる日々です。
そんな中で「これでいいのだろうか?」と考えることもありましたが、ある日気づきました。
経営者の本当の喜びは「地位や名誉、富」を手にすることではなく、
「世の中やお客様に貢献できていることを実感すること」にあるということです。
(これは、地位・名誉・富を否定するものではなく、これらにそこまで価値を感じなくなるという意味合いです)
経営者がメンバーを支え、メンバーがお客様に貢献し、結果として社会から必要とされる姿を見る。
それが経営者にとっての喜びです。
そして、メンバーがお客様や社会に「全集中」できる環境を整え、心構えを説くことが、経営者の本来の仕事と思います。
最近、兵庫県知事が発言や行動で県民や職員との間に溝を作り、信頼を失う結果になりました。
知事が現場や県民の声に耳を傾けず、自分の考えを押し通すと、共感を失い、リーダーシップは機能しなくなってしまいます。
この例は、経営者にも通じる教訓を与えてくれます。
現場の声を無視して自分の思い通りに事を進めようとすると、組織全体が崩れてしまうのです。
リーダーはトップに立って指示を出すだけではなく、常に現場の声に耳を傾け、支える役割を果たす必要があります。
今の時代は「独占」や「独裁」といった「独り占め」の価値観が通用しなくなっています。
独断型の経営者は、メンバーからの共感を得にくく、組織全体が機能しなくなります。
これからの経営者には、他人や世の中の喜びを自分の喜びと感じられるメンタリティが必要に思います。
支えることに価値を見出し、他人の成長や成功を自分のものとして捉えることができる経営者こそ、これからの時代に求められてくるように思います。
「底辺」から支えることは、確かに「てーへん(大変)」です。(苦笑)
しかし、その泥臭さこそが、経営者という仕事における最大の魅力でもあります。
経営者は、世の中やお客様、そしてメンバーを支えることで「大きな変化(大変)」をもたらすことができるのです。
だからこそ、これからも地道に支える経営者として、前を向いて歩んでいきたいと思います。