栄木の”ひとり言”

【第186号】自己成長につなげる「問い」の大切さ

先日、あるアスリートと1on1コーチングを実施した時のことです。

「どうしたら今の好調な状態を維持できるか?」

これが最初の「問い」でした。

誰しも「良い状態」は維持したいものです。
ですので、そう考える気持ちは理解できます。

一方で、何かをKeep(キープ)する…というのは、「現状維持」や「守りの発想」になりがちです。
「創意工夫」や「クリエイティブな発想」にはつながりにくいものです。

さらには、Keepできなくなったときは、不安や迷いが入り込み、自滅にもつながりかねません。

「現状維持の発想は、衰退を招く」と言われるゆえんです。

では、どういう「問い」に変えればいいのでしょうか?

それは、

「さらに向上するにはどうしたらいいか?」

という問いです。

「まだまだこんなもんじゃない」という発想です。

そうなると、いくらでも改善点が見つかり、創意工夫も生まれてくるものです。
それが結果として、好調な状態を維持したり、さらにレベルアップすることにつながります。

筆者自身、リピートいただいているお客様から「栄木さんの研修は毎年進化していますね」というお言葉をいただくことがあります。
それはそれでとてもありがたいことではありますが、自身の中では「まだまだ工夫の余地はある」と思い、現状に満足することはありません。
それが結果として、現状維持(リピート)につながっているのだと思います。

自分自身に投げかける「問い」、
特に、「最初」の問いは極めて重要です。

なぜなら、最初の問いが間違ってしまうと、出てくる答えも間違ったものになってしまうからです。

たとえば、企業においてよくある問いとして、

「どうしたら業績が上がるか?」
「どうしたら業績目標を達成できるか?」

といったものがありますが、この問いに対して出てくる問いは、得てして「自分中心の視点」に陥りがちです。

企業活動の本質は、「顧客への価値提供」にありますので、大切な問いは、

「どうしたら顧客に貢献できるか?」
「顧客への価値提供を最大化させられるか?」

というものになってきます。
そうなることで、顧客からも指名され、結果として業績向上にもつながっていくものだと思います。

「どうしたら効率化できるか」などの問いは、その次にくるものだと思います。

どんな「問い」を自分に投げかけるかによって、思考の流れ・深さ・質は変わるものです。
だからこそ、自己成長につながるような「良質な問い」を自分自身に投げかけたいものです。

最後に一つ、格言をご紹介して本コラムを締めくくりたいと思います。

「重要なことは、正しい答えを見つけることではない。重要なのは、正しい問いを探すことだ。」
 ~ピーター・F・ドラッカー(経営学者)~