
筆者が関わっている顧客で、1on1ミーティングの制度を導入して5年ほど経過した企業があります。
筆者自身も導入支援、しくみづくりのところから関わらせていただいていたので、思い入れもあります。
4万人を超える大企業で、導入当初は多くの苦労がありました。
当然社員からも反発があり、前途洋々とはいきませんでした。
現在は、毎年6月から7月にかけて講師として登壇しておりますが、如実に変化を感じることがあります。
それは、受講者(管理職)の表情、ワークショップへの参加意欲、対話スキルが毎年向上しているように感じることです。
1on1ミーティングは、定期的(2週間に1回程度)に上司と部下が対話をする制度になりますが、年月が経つに連れて形骸化したり、マンネリ化するケースは多くあります。
ですが、この企業は違います。
受講者の大半が、「時間を割いてでも、メンバー(部下)と対話の場を持つことは大切だ」ということを実感しています。
だからこそ、「もっとメンバーに深い自己内省や気づきを促せるような対話スキルを身に着けたい」という欲求が湧いてきます。
こうなってくると、ワークショップ(研修)も、より実りあるものになってきます。
豊かな非言語表現、
「まずは相手の話を聴く」という姿勢、
反対意見が出たときも、感情的にならずにいったん受け止める姿勢、
相手を論破するのではなく、自分の意見を当て、その上で相手の考えや主張を聞く姿勢…。
そのどれもが5年前と比べて高まっていると、講師の立場として肌感をもって感じています。
受講者アンケートでも、ポジティブ回答率が100%となっており、受講意欲の表れを感じます。
「良い空気は伝染する」
上司のそのような姿勢は、メンバーにもきっと伝わっているはずです。
実際に、当企業のエンゲージメントスコアは、ここ2~3年で上昇の一途を辿っており、その一端に、「1on1ミーティングが機能している」ことが挙げられています。
まさに、私たちが「やりたいこと」はここにあります。
「自分たちがやったんだ」と申し上げるつもりはまったくありません。
「成果に関与することができた」=「お役に立てた」
これこそが、私たちの喜びです。
今年のワークショップで、多くの管理職から聞かれた声、それは「部下のWillをもっと引き出したい」というものでした。
この想いは、私たちも同じです。
「顧客のWillをもっと引き出したい」
そのためにも、これからもチームメンバーで自己研鑽していきながら「これからも、この先もずっと必要とされる企業でありたい」と思っています。