栄木の”ひとり言”

【第172号】「なで石」

奈良県に大峰山龍泉寺というお寺があります。
ここに「なで石」と呼ばれる不思議な石があります。

この石を撫でてから持ち上げると軽くなり、
石を叩いてから持ち上げると重くなるというのです。

2キログラムの石は、増えも減りもしないのですから「それありえない」というのが理屈です。
ですがここでは、「理外の理」を考えてみたいと思います。

同じことをするにも、する人の心の置き所の違いによって、する前から差がついています。

同じことでもイヤイヤ関わっているとなかなか捗らず、何回繰り返してもまともなものは出来上がってきません。
反対に、理屈からは到底不可能に思えることでも、何としてもやり遂げねばならないと、高い志をもって取り掛かれば、次々と可能性が広がることは確かにあります。

「なで石」は我々の相手に対する思いと、物事の処し方としての心の置き所を問い質してくれます。