栄木の”ひとり言”

【第162号】東京に事務所を開設してから1年経過して思うこと

2月1日、東京・赤坂に事務所を開設してちょうど1年が経過しました。

実は、この1年、様々な葛藤がありました。

仕事柄、「オンライン中心」の研修やコーチングが多く、ノマドワーカー(定期的に仕事の場所を変えながら働く人々)としても活動できること。
また、頻繁にお客様が出入りするわけでもないので、基本一人でいることが多いこと。
さらには、ここ最近は出張も増えて事務所を空けること多いこと。

以上の理由から、

「高いお金を払って、わざわざ東京に事務所を開設しなくても良かったのではないか?」
「この事務所代を、もっと別のところに投資しても良かったのではないか?」
「家族との距離を置いて、わざわざ単身赴任するメリットはあったのか?」

と、自問自答することもしばしばありました。
すると、「このままでいいのかな…、どうしようかな…」という迷いが生じることも。

退路を断って決断をしたものの、「トレードオフ」の狭間にいる感覚がありました。

(※「トレードオフ」とは、何かを得ると、別の何かを失う、相容れない関係のこと。平たく言うと一得一失である。対義語は「両立性」)

筆者に限らず、人生において「トレードオフ」の狭間で「モヤモヤ」が生じることは多々あると思います。

「金銭(貯蓄)」「家族との時間」を優先すれば、明らかにつくばの自宅を事務所にした方がメリットがあります。
実際に、周囲の大半の意見は「別にわざわざ東京に移転しなくたっていいんじゃない?」というものでした。

一方で、
「もし、東京に事務所を開設せず、つくばの自宅に事務所で仕事をし続けていたらどうなっていただろう?」
ということも自問自答してみました。

ひと言で言えば、
「『ぬるま湯』に浸かっていた」と思います。
生来、筆者は意志が弱い方だと認識しています。

ですので、そもそも東京に事務所を移転しようと思ったきっかけは「より厳しい環境を求めて」というものでした。

例えば、あえて親元を離れて、雪国などにスポーツ留学する学生のような感覚です。

そこで得られるものは、高度な技術に加えて、「メンタルタフネス」でもあります。
実際に、経営者としての自覚は高まった実感はありますし、研修業務やコーチングを実施していても、良い意味で「甘さ」が消えたように思います。
おかげさまで、お客様からのリピートでのご用命も増えました。

ただ、東京に事務所を移転して、実は「一番得たもの」があります。

それは、「家族への感謝・愛情」です。

普段離れているからこそ、たまに一緒にいるひとときを、いとおしく感じます。

スポーツ留学の学生が、親元を離れてみて「親のありがたさ」を実感するのと同じ感覚です。

東京に事務所を開設してから1年経過して思うこと。
それは、筆者がお気に入りの、槇原敬之の「遠く遠く」という曲の歌詞が現わしてくれています。
ーー
遠く遠く離れた街で
元気に暮らせているんだ
大事なのは“変わっていくこと”
“変わらずにいること”

遠く遠く離れていても
僕のことがわかるように
力いっぱい輝ける日を
この街で迎えたい
僕の夢をかなえる場所は
この街と決めたから
ーー