
「職場の人とは、プライベートでは距離を置いています」
職場活性化に向けて、筆者がヒアリングを実施する際、このような話をいただくことが多いです。
その背景にあるのは、「職場のギスギスした人間関係へのストレス」があると考えられます。
仕事は一日の大半を占めます。
そんな中、大半の時間を人間関係のストレスにさらされる…。
だからこそ、仕事以外の時間はなるべく職場の人とは距離を置きたい…。
なるべく出社はせず、リモートワークで済ませたい…。
そんな気持ちも理解できます。
一方で、職場の人間関係の良し悪しは、仕事の成果に直結します。
だからこそ、人間関係は良好であることに越したことはありません。
「もっと積極的にコミュニケーションを図っていきましょう」
読者のみなさまは、こんなメッセージを何回も耳にしてきたことでしょう。
それでも、なかなか良くならない人間関係…。
一体、何がそうさせているのでしょうか?
もし、利害関係がなく、趣味などで集まった人であれば、同じメンバーでももっとうまくやれるはずです。
実は、人間関係を難しくさせているのは、「仕事」の性質そのものにあります。
仕事においては常に「成果(アウトプット)」が求められます。
それだけではなく、「お金」や「評価」「処遇」も絡んできます。
これが、人間関係を難しくさせてしまっています。
高い成果を求められる組織になればなるほど、当然「基準」が上がっていきます。
基準に満たない人は、プレッシャーをかけられ、評価も下がり、処遇も悪くなります。
一方で、基準を超える人は、評価も上がり出世し、マネジメントの立場になるものの、今度は「基準を満たさない人」のパフォーマンスをどうやって高めていくかに苦労します。
「なんであの人はあまり働いていないのに、私より給料がいいの?」
「自分はこんなに頑張っているのに、評価が低い」
「別部署の〇〇さんは、全然、こっちの立場を分かってくれない。いつも一方的だ。」
「上司は成果のことばかり考えていて、自分たちの思いに耳を傾けてくれない」
「部下は、指示しないとなかなか動いてくれない」…
仕事をしている人であれば、一度や二度はこのような思いをしているのではないでしょうか。
昔、筆者の上司が、「なんで、みんなお互いに文句ばっかり言うんだろう?もっとみんな仲良くやればいいのに。」と言っていたことを思い出しました。
ただ、これまで述べたことを踏まえれば、
「仕事において、人間関係を築いていくことはそもそも難易度が高い」
ということが真実であるように思います。
まず、この前提を自覚することから、職場における人間関係構築はスタートすると考えます。
(なお、このことはスポーツ・教育など「成果が求められるあらゆる組織」について同じことが言えます。)
職場の人間関係をないがしろにしたり、避けていると、
職場の人間関係にますます足を引っ張られ、頭を悩ませることになります。
だからこそ、人間関係に切り込んでいくことが大事になっていきます。
そこで、ここ最近筆者が響いたコメントがあったので紹介します。
ーーー
?「自分のことを理解してほしい」という思いは誰でもある。
では、「相手のことをもっと理解しよう」という思いはどれくらい持っているだろうか?
?「やられた時のこと(被害に遭った時のこと)」はみんなよく覚えている。
では、「自分がやってしまった時のこと(害を加えてしまっと時のこと)」はどれくらい覚えているだろうか?
?「自分は助かりたい」という思いは誰しも持っている。
では、「少しでも他人の助けになろう」という思いはどれくらい持っているだろうか?
ーーー
こんな心構えを一人ひとりが少し持つだけでも、職場の人間関係は改善されていくと思います。
表現自体は平易ではありますが、実践することは簡単なことではありません。
ただし、裏を返せば、「仕事を通じてこそ、真の人間関係構築力が磨かれていく」ということも言えそうです。
仕事の人間関係を通じて「心の扇」が広がれば広がるほど、
人間関係の「悩み」よりも、人間関係による「恩恵」を多く感じ取れるようになり、
結果として自分自身の人生を豊かにするものと筆者は考えます。