栄木の”ひとり言”

【第155号】仕事上のコミュニケーション

ビジネスパーソンと関わっていて、「仕事上のコミュニケーション」に関する悩みは絶えません。

上司とのコミュニケーション、
メンバー(部下)とのコミュニケーション、
同僚とのコミュニケーション、
取引先とのコミュニケーション…。

仕事では「成果」を出すために、表層的なコミュニケーションではなく、時に突っ込んだコミュニケーションが求められます。

それが時に「相手に負荷をかけるコミュニケーション」ともなり、様々なストレスやトラブルを引き起こし、「仕事関係の人とはなるべく関わりたくない」とさせてしまっているように感じます。

こうなってしまうと、互いに「非協力的」となり、成果にもつながりにくいものです。

とはいえ、誰しも「職場の人間関係は良いに越したことはない」と思っていますし、
仕事をやっている以上「成果」が出た方が嬉しいに決まっています。

では、どうしたら仕事をする上で「良質なコミュニケーション」が行えるのでしょうか。

キーワードは「自己認識」です。

自分の言動が、周囲にどういう影響を与えているのか、客観的に正しく理解できる力です。

筆者が様々なビジネスパーソンと関わっていて感じること、
それは「他人をどうするか?」「他人からこうされた」という「他人」が行動の主体になっていること多いと感じることです。
一方で、「自分の言動が周囲にどういう影響を与えているか?」という、客観的な自己認識が盲点になっているように感じます。

例えば、上司(マネージャー)についていえば、自分の言動が部下(メンバー)にどういう影響を与えているか?について盲点となっています。
反対に、部下(メンバー)についていえば、自分の言動が上司(マネージャー)にどういう感情を抱かせているかが盲点になっています。

それが結果として、「互いに責め合って、互いに傷つけあってしまう」ということにつながってしまいます。

今回のコラムでは、自己認識を高め、良質なコミュニケーションを行うためのワークを行いたいと思います。

以下、それぞれの立場で当てはまるものに「〇」をつけてみてください。

【上司(マネージャー)にありがちな20の悪癖】

  1. 指示待ちにさせる: メンバーに自己判断や主導権を取らせず、部下を指示待ちにさせる。
  2. コミュニケーション不足: メンバーとのコミュニケーションが不十分で、指示や伝達事項に終始する。
  3. フィードバックの欠如: メンバーに対して適切なフィードバックや評価を行わない。
  4. マイクロマネジメント: メンバーの仕事に過度に干渉し、細かいことまで管理しようとする。
  5. 不公平な取り扱い: メンバーの間で不公平な扱いをし、特定の人を贔屓(ひいき)することがある。
  6. 説明不足な指示: メンバーに対して適切な指示や情報を提供せず、混乱を招くことがある。
  7. 責任転嫁: 自分のミスや責任を他人に押し付けることがある。
  8. 目標設定の不明確さ: メンバーに対して具体的な目標や期待を示さない。
  9. 感謝の不足: メンバーの成果や努力に対して感謝の意を示さない。
  10. 目標の過度な圧力: 達成不可能な目標を設定し、メンバーに過度の圧力をかけることがある。
  11. 優越感: 自己陶酔的な態度を持ち、メンバーを見下すような態度をとることがある。
  12. 冷たい態度: 感情的な支援や共感を欠き、冷淡な態度を取ることがある。
  13. 情報の保持: 重要な情報を自分だけが保持し、メンバーに必要な情報を提供しないことがある。
  14. 成果を過度に強調: メンバーの個人的な幸福や満足度を無視し、成果だけを強調することがある。
  15. 計画の不備: 適切な計画を立てず、メンバーに対して混乱を招くことがある。
  16. 公平な評価の欠如: 成果に対する公平な評価を行わず、個人的な偏見が反映されることがある。
  17. 柔軟性の不足: 変化や新しいアイデアに対する柔軟性を欠き、古い方法にこだわることがある。
  18. 悪口と中傷: メンバーや他の上司を悪口や中傷することがある。
  19. 聞かない姿勢: メンバーの意見や提案を聞かずに、自分の意志だけを尊重することがある。
  20. 人材育成の怠慢: メンバーの成長やスキル向上に関心を持たず、育成を怠ることがある。

【部下(メンバー)にありがちな20の悪癖】

  1. 指示待ちの姿勢: 上司やリーダーからの指示を待つ傾向があり、自己判断やイニシアティブを発揮しない。
  2. コミュニケーション不足: チーム内でのコミュニケーションが不十分で、他のメンバーとの協力を怠る。
  3. フィードバックを無視: 上司や同僚からのフィードバックやアドバイスを無視し、自分のやり方を貫く。
  4. マイクロマネジメントへの依存: 上司やリーダーに対して過度に依存し、細かい指示を待つ。
  5. 責任の回避: 自分のミスや責任を他人に押し付けることがある。
  6. 目標設定の不明確さ: 自分の役割や目標が不明確で、方針を理解しないまま作業する。
  7. 感謝の不足: チームメンバーや上司の貢献に感謝の意を示さない。
  8. 納期を守らない: 納期を守らず、他のメンバーに迷惑をかけることがある。
  9. 協力の拒否: チームでの協力を避け、自分だけの利益を優先することがある。
  10. 目立ちたがり: 自己主張をしすぎて、他のメンバーを軽視することがある。
  11. 冷たい態度: チーム内で感情的な支援や共感を欠き、冷淡な態度をとることがある。
  12. 情報の保持: 重要な情報を共有せず、チーム内で情報不足を招くことがある。
  13. 個人主義: チームの目標や成功に対して無関心で、個人の利益を追求することがある。
  14. 計画の無視: チームの計画や方針を無視し、自分の計画通りに行動することがある。
  15. 共感不足: チームメンバーの感情や立場に共感せず、感情的な支えを提供しない。
  16. 他人を非難: チームの問題が生じた際に、他のメンバーを非難することがある。
  17. 聞かない姿勢: チームメンバーの意見や提案を聞かず、自分の意志だけを尊重することがある。
  18. 情報を提供しない: 他のメンバーに必要な情報を提供せず、情報の共有を怠ることがある。
  19. 不満の表現不足: 問題や不満をチームと共有せず、内向きに抱え込むことがある。
  20. プロフェッショナリズムの不足: チームのプロフェッショナリズムや倫理観を欠いて行動することがある。

何個当てはまりましたでしょうか。

ここで大切なことは、「自己評価が0個である」ことではありません。
たとえ、10個ついても構いません。
自己評価が、第三者との評価とほぼ合致していることです。

なぜなら、それこそが正しい自己認識となり、行動改善の一歩となるからです。
課題が明確であれば、正しい打ち手にもつながります。

そのためにも、ぜひこのテストを第三者にもやってみてもらってください。

このテストを行う上でお伝えしたいこと、
それは、「第三者の評価が正しくて、自己評価が間違っている」ということではありません。
第三者の目を通して、自分の言動を「具体的に」振り返ってみることが大切だということです。
たとえば、第三者の指摘通りなのか、第三者の思い込みから来るものなのか、
それとも、自分には全くそのような意図はなくても第三者に誤解されているのか…。
誤解を招いているとしたら、具体的にどんな言動がそうさせているのか…などを場面を通じて振り返ってみることです。

自分を直視すること、事実・現実を向き合うことは、時に苦痛でもあります。
一方、このようなプロセスを通してこそ人は成長を遂げ、コミュニケーション力(関係構築力)も高まっていきます。

どんな環境に身を置いても、自分を行動の主体と捉え、「自分の言動」にフォーカスしていくことが、状況を好転させていくと筆者は考えます。

追伸:ちなみに筆者自身の悪癖の数(上司編)は、9個でした…。