
11月の頭、当社メンバー一同介して、対面でのミーティングを行いました。
それまではオンラインで毎月行っておりましたが、それは、「何をいつまでどのように」といった、「戦略・戦術・アクション」に関するものでした。
前提としてあった筆者の考えは、以下のようなものでした。
「当社のパートナーとして関わってもらっているからには、当社のビジョン(企業理念)にも共感してくれているはず。」
「だから、ビジョンの実現に向けて、とにかく『アクション』が大事。」
ですが、定例のアクションミーティングを重ねても、いまいち「一体感」が生まれる感覚がありませんでした。
近況を共有することで、「お互いの人となり」を知れることはあっても、それ以上深まる感覚はなく、アクションプランを決めても、筆者の思い描いた通りの成果がなかなか出てきませんでした。
時には、筆者自身「孤軍奮闘」している感覚にさえ陥ることがありました。
そのとき、筆者の中では、こんな頭の中の「独り言」が回っていました。
「自分は経営者としてのセンスが無いのでは?」
「いっそのこと、一人でやった方が良いのでは?」
「自分の『右腕』となって動いてくれる人を採用しないと…」
しかし、これらの問いは、「誤った問い」であることに気づきました。
もっと大切なことは、
「メンバーは、今、どんな想いで当社に関わってくれているのか?」
「メンバーにとって、『世の中をもっとこうしたい』という想いは何なんだろう?」
「メンバーは、自分という存在を通じて、どんな社会貢献をしたいんだろう?」
といったことを、メンバー一人ひとりに尋ねてみることでした。
それは、一人ひとりの「想い」を封印せずに、発露してもらうことでもあります。
思えば、筆者ばかりが「経営者としての自分の想い」ばかりを話していました。
そして、「自分の想いを熱く語れば、きっとメンバーに届くだろう」と思っていました。
しかし、メンバーにとっては、「耳にタコ」ができるくらい同じことを聞かされるのはしんどいものです。
(筆者自身の過去の原体験からもそうでした)
よく、「言い続けるしかない」という組織のリーダーがいましたが、
今、筆者がリーダーとして思うことは「聴き続けるしない」ということです。
人は本来、自分の想いを話したいし、聞いてもらいたいものです。
そこに「共感」が生まれるからです。
「好意の返報性」ではありませんが、「自分の想いを受け止めてくる人」の言うことに、人は聞く耳を持つものです。
冒頭の対面でのミーティングでは、メンバー一人ひとりの想いに耳を傾けました。
そして、筆者が感じたことは、「一人ひとりが考えているし、想っている」というものでした。
そして、具体的な言葉を抽象化すると、「思い描いている世界(ビジョン)」が、実は一致しているということでした。
それは、当社が目指している「ビジョン」とも重なりました。
この日の夜、メンバー同士の懇親会を行いましたが、発言が偏ることもなく一人ひとりが自分の本心を自由に語ってくれました。
それは、これまでにはない一体感や盛り上がりでした。
通常のパフォーマンスに「想い」が乗っかると、人は潜在能力(本来持っている力)を発揮できるものです。
戦略・戦術も大事ですが、それ以前に、一人ひとりの想いを引き出し、それを束ねていくことが、今の時代のリーダーとしての大事な役割のように思いました。
企業や組織が成果を出す上で、こういった「一体感」や「意欲」「想い」といった「目に見えない部分(エンゲージメント)」が、ますます大事になってくると言われています。
その一方、多くの企業や組織がエンゲージメント向上に腐心しています。
しかしそれは、最新のシステムやしくみを導入して効率的に解決できるものではありません。
非効率で原始的ではありますが、一人ひとりとの対話を通じて、一人ひとりの想いを引き出すことの繰り返しによってなされるものと筆者は考えます。