栄木の”ひとり言”

【127号】「いい質問」ができる人の重要な資質とは?

コーチング、1on1ミーティングの認知が広がりつつある昨今、
対話を通じて、相手にの可能性や気づきを引き出し、主体的な行動を促す「質問力」がにわかに注目を浴びています。

「質問力を高めるにはどうしたらいいのか?」

上司の方から、こんな相談をいただくことがあります。

そこには、「もっとメンバー(部下)には、成長してもらいたい」という思いが見え隠れします。

企業や組織は、常に「成果」が求められます。
だから、上司や指導に携わる人が、「質問力を高めたい」と思うのも頷けます。

ですが、上司がメンバーに成果を求めれば求めるほど、質問は空回りしてしまいます。

それはなぜでしょうか?

たとえばこんな質問です。

上司は自分の答えを持ってはいるものの、あえて答えを言わず、メンバーに考えさせようとします。
しかし、当のメンバーから、上司が期待するような「答え」が出てこないとなったらどうでしょう。

しびれを切らして、「やれやれ」と思いながら上司が答えを言うことも。

こうなると、「教えた方が早い」ということになります。

さらには、上司にとって「出来の悪いメンバー」だとしたらどうでしょう?

という「悪い質問」をしてしまうことに。

こうなっては、メンバーの可能性や気づきを引き出すどころか、萎縮させて可能性にフタをしてしまうことも…。

ここで、筆者が最もハッとさせられた「質問力」を高めるための秘訣をご紹介します。

大嶋祥誉(おおしまさちよ)さんの著書「マッキンゼーで叩き込まれた『問い』の力」での一節です。

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「良い質問ができる人になるために、最も重要な資質は何か?」
といえば、実は、効果的な質問のできるノウハウを使いこなせることでも、
質問のできる知識に精通していることでもありません。

それは「関わる人に対する愛」だと考えます。

これは言い換えれば「常に相手に対してニュートラルでいられるか?」ということ。
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「成果を出す」ということに関していうと、
例えば、「利益を上げること」はそもそも正しいことなのでしょうか?

もし正しいのならば、「利益を出せない人」は「間違っている」ということになります。
そうなると、相手に対して「バイアス」をかけて見ることにつながります。
そうなるとニュートラルにはなれません。

ですので、メンバーの気づきも生まれにくいものです。

さらには、メンバー自身が自分を追い込んでしまって、
自身の可能性を閉ざすことにもつながりかねません。

では、ニュートラルな質問とはいったいどんなものでしょう?

これらの質問には、「愛」があります。(もちろん聞き方にもよりますが…)

良い質問は、相手のこだわりや可能性に目を向け、相手を活かす良いパスのようなものです。
それが、単一の指標にとらわれない、「一人ひとりの可能性」を最大限引き出すことにつながります。