
ここ近年で世界の経済格差が拡大したと言われています。
実際、世界の所得下位50%では富全体の2%、
世界の所得上位者1%で、37.8%の富を有しているとのことです。
経済格差は、今に始まったことではありません。
歴史を振り返ると、イギリスの産業革命や明治維新など、産業・技術の目覚ましい進化は、資本家やエリートと言われている人たちにとっては好条件となり、結果として資本家と労働者の経済格差を広げることにつながりました。
そう考えると、「AI革命」と言ってもおかしくない現代において「一体誰が得するのか?」と言われたら、答えは明白です。
資本家が、AIを導入することで、さらに低コスト&高品質&スピード感をもってサービスを生み出す。
すると、ますます人の持つ労働力が淘汰される…といった具合です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、資本家の富をさらにトランスフォーメーションさせることでしょう。
「じゃあ、私たちはこの先どうしたらいいのか?」
ここでは、俯瞰的な視点ではなく、
私たちが身近にできる視点から「生きる術」をお伝えしたいと思います。
1つ目は、富の指標を「金銭」から「心」に移すというものです。
最初から「お金持ち」ではなく、「心持ち」を目指すというものです。
金銭が必ずしも幸せをもたらすものではないことは、過去の歴史が証明しています。
「比べない心」
「今を感じられる心」
「ありがたみを感じられる心」
「他人を思いやれる心」
「誘惑を自制できる心」
などを手に入れることが、「心の富んだ人=心持ち」ということになります。
2つ目、それは「実は『心持ち』になることが、経済格差も減らしていく」というものです。
一見、論理が飛躍していますが、実はとても理にかなっています。
心が貧しい状態だと、ストレスや不満を感じやすくなり、それを解消するために「刺激」に触れたくなります。
それが、SNSであったり、刺激的な娯楽や情報、食べ物だったりします。
「無料」で触れられるものほど要注意です。
「お金」は取られませんが、私たちの「注意(関心)」と「時間」が奪われます。
今、富を独占する企業は、消費者の「お金」よりも、「注意(関心)」と「時間」にこそ着目をしています。
たとえば、刺激的で魅力あるコンテンツを無料で配信すれば、当然、消費者は注目します。
そこに消費者を滞留させることによって、その消費者が何に興味関心があるかを炙り出すことができます。
そして、一人ひとりの「プロファイル」を、企業に提供することで商売が成り立ちます。
つまり私たちの時間・関心が、ネット社会における商売道具なわけです。
私たちは、財布の紐を緩めることには用心深いですが、自分の注意(関心)と時間を何に使うかにも用心深くなった方がいいかもしれません。
そうでないと、私たちは金銭だけでなく時間や集中までも、はぎ取られてしまいます。
それは「生きる意欲」を奪われることにすらつながります。
ネット・SNS・スマホを悪者にするつもりはありませんが、あくまで「道具」であるという認識を持つ必要はあると思います。
今は、その道具に私たちの時間や注意を奪われ、弄ばれているように感じます。
一方で、「心持ち」になったらどうでしょう?
ネット・SNSに依存しなくても、今を感じられます。
だから、画面に滞留し続けることはありませんし、主体的に情報の取捨選択もできます。
刺激的な情報、不安を煽るような情報に惑わされることもありません。
ネットやスマホをあくまで「ツール(道具)」として使うことができます。
また、他人に関心を持ち、他人を思いやることができます。
自分の楽しみだけに時間を使うのではなく、他を利するためにも時間を使います。
かつ、自己研鑽に励むわけなので、当然、周囲からも必要とされます。
だから莫大な利益を得ることはなくとも、「正しい稼ぎ方」を心得ているので、生きることに困ることはないでしょう。
一人ひとりの「注意」や「時間」が、「ネット・スマホ画面」ではないところに向けば、当然ながら、ネット関連企業の富の独占は減っていきます。
人が「心持ち」になってこそ、人と現代のテクノロジーとの共存関係が生まれます。
一人ひとりが、「心持ち」になること。
そして、一人ひとりが、「心持ちな人」に対して時間とお金を使うこと。
そうなることで、経済格差は徐々に減っていくことでしょう。
筆者が今の仕事を通じて目指す世の中は、「心持ちな人が増える世の中」です。
そのためにも、筆者の限りある注意と時間、そして「心」を、ご縁をさせていただいた人・組織に向けていきたいと思います。