出かける直前に予定が変わった。電車が止まった。会議の議題が急に入れ替わった。
そんなとき、「えっ」と固まってしまう人もいれば、「じゃあ、こうしよう」とすっと切り替えられる人もいます。
前回の規律性は「決めたことを、決めた通りに」。今回の資質は、その正反対というわけではないけれど、ちょっと遠いところにいる存在です。
今回のテーマは、人間関係構築力の領域にある「適応性(Adaptability)」。目の前の流れに身をゆだね、変化に柔軟に対応しながら力を発揮する資質です。
■「適応性」って、どんな資質?
一言でいうと、「今、この瞬間に合わせる」。
先の予定を細かく固めるより、そのときどきの状況を見て動きたい。急な依頼や予定変更にも、ストレスより「さて、どうしようか」という軽やかさが先に立つ。一日の中で用事がいくつも入れ替わっても、むしろ生き生きしている。変化を自然に受け止められる、そのしなやかさが適応性です。
■私が聞いた“適応性あるある”
適応性が高い方に話を聞くと、「変化」や「想定外」にまつわるエピソードが次々に出てきます。
地震が起きたとき。周りが慌てるなかでも、不思議と頭は冷静で、どう動けばいいかが落ち着いてわかるそうです。
旅行は断然ノープラン派。予定どおりに回る旅より、思わぬハプニングが起きた旅のほうが楽しい。「むしろハプニングが最高」とのこと。
仕事でも、決まった持ち場を守る“本軍”より、状況に応じてあちこちに駆けつける“遊軍”のほうが性に合う。何が起きるかわからない場面ほど、力が湧いてくるのだそうです。
聞いている側は「それで疲れないの?」と感心するのですが、ご本人にとっては、それがいちばん自然体なのです。
■規律性と並べると、見えてくること
規律性の人が「先に決めておくから安心できる」なら、適応性の人は「決めすぎないから安心できる」。どちらが正しいのではなく、安心のつくり方が違うだけです。
同じチームにこの二人がいると、計画をつくる人と、計画が崩れたときに立て直す人がそろいます。一見ぶつかりそうで、実はとても相性のいい組み合わせなのです。
■適応性は「無計画」でなく「今に強い」
適応性というと、「行き当たりばったり」「計画性がない」と見られがちです。でも本質は、目の前の現実にいちばん誠実であること。
計画どおりにいかないのが当たり前の時代。状況が変わった瞬間に、今いちばん必要なことへ力を向けられる。それは、変化の多い現場ほど頼りになる力です。
■適応性の強みと盲点
強みは、想定外の事態でも慌てず、場を落ち着かせられること。
急な依頼、トラブル、方針転換。周りが浮き足立つ場面でも、「じゃあ、今できることをやろう」と動き出せる。お客さま対応や現場の調整など、変化の多い仕事で真価を発揮します。
一方の盲点は、先を見通した準備が後回しになりがちなこと。締め切りぎりぎりになったり、長期的な目標が立てにくかったり。また、周りの要望に合わせているうちに、自分が本当にやりたいことが見えにくくなることもあります。
■適応性をどう活かす?
【適応性が高い本人へ】
・ 計画は「ざっくり」で十分。ゴールと締め切りだけ決めておき、途中の進め方は柔軟に。最低限の“杭”を打っておくと、変化への強さがそのまま成果につながります。
・ 「変化に強い自分」を役割にする。トラブル対応や急な調整が必要な場面に、手を挙げてみる。周りが困る場面こそ、あなたの出番です。
【適応性が高い人と働く方へ】
・ 細かすぎる計画で縛らない。目的を共有したら、進め方はある程度任せてみると、のびのびと力を発揮してくれます。
・ 長めの締め切りには、途中の確認ポイントをはさむ。「来週水曜に一度見せてね」と小さな区切りがあると、本人も動きやすくなります。
■おわりに
予定どおりにいかない日も、「それならそれで」と笑って進む。そのしなやかさが、チームを何度も助けてくれます。
適応性は、“計画性のない人”ではなく、“どんな波が来ても、いっしょに乗りこなしてくれる人”なのです。
「強みを知れば、自分のキャリアはもっと面白くなる。」
