4月は、筆者にとって”新入社員研修”シーズンです。
毎年、フレッシュな新入社員に会う度に、こちらも新鮮な気持ちになります。
「どんな社会人生活を送れたら理想ですか?」
と尋ねると、毎年のように耳にする言葉があります。
それは、「プライベートを充実させたい」という声です。
仕事に追われず人生を充実させたい。
この思い自体は、とても大切で、素晴らしいものだと思います。
その流れで、こうした言葉もよく出てきます。
「なるべく残業はしたくない」
「休日はしっかり休みたい」
これも自然な感覚です。
誰だって、仕事に追われ続ける生活は望まないはずです。
ただ、ここに一つだけ、見落とされがちなポイントがあります。
以前、関わった新入社員の方との面談で、こんな話がありました。
「休みの日も、なぜか心が休まらないんです」
「定時で帰りたいのに、残業が続くのがストレスで…」
とても率直で、よくある悩みだと思います。
一方で、周囲の上司や先輩に話を聞くと、こんな声もありました。
「言われたことはやるけれど、自分から動こうとしない」
「好きな仕事はやるけれど、頼まれたことは後回しになりがち」
ここに少しズレが生まれています。
本人の中では、
「プライベートを大事にしたい」
↓
「自分の負担はなるべく減らしたい」
↓
「決められたことはちゃんとやる。でも、それ以上のことはやりたくない」
という流れが、無意識のうちにできてしまっています。
その結果、なかなか周囲からの信頼が積み上がらず、
「なぜか評価されない」と感じてしまうことにつながります。
では、何が問題なのでしょうか。
環境でしょうか。
それとも上司でしょうか。
筆者は、本質はそこではないと考えています。
ポイントは「日々のちょっとした姿勢」にあります。
例えば、コピー用紙が切れているとき。
「これは自分の仕事ではない」と思うかどうか。
トイレのハンドペーパーがなくなっているとき。
「面倒だから後で誰かがやるだろう」と流すかどうか。
報告一つでも、
「言われたからやる」のか、
「相手が安心するように先回りする」のか。
こうした小さな違いが、少しずつ積み重なっていきます。
仕事というのは、自分一人で完結するものではありません。
必ず相手がいます。
しかし、「自分の負担を減らしたい」という気持ちが強くなると、
知らず知らずのうちに、仕事が“自分中心”になってしまいます。
ここに、”ワークライフバランスの落とし穴”があります。
少し逆説的ですが、筆者はこう考えています。
「仕事こそ、相手の立場で考えた方が、結果として楽になる」
相手のことを少しだけ想像する。
一歩だけ先回りする。
面倒なことを少しだけ引き受ける。
その積み重ねが、信頼になります。
信頼が積み上がると、細かく指示されることが減り、
任せてもらえる場面が増えていきます。
結果として、やり直しや無駄なストレスが減り、
仕事に振り回される感覚も少なくなっていきます。
ワークライフバランスを大切にしたいのであれば、
仕事を抑えることから入るのではなく、
まずは仕事の中で信頼を積み上げること。
その方が、結果として心も時間も整っていきます。
筆者は、ワークライフバランスは「最初に求めるもの」ではなく、
「後からついてくるもの」だと考えています。
だからこそ、まずは目の前の相手に向き合うこと。
そこからすべてが始まるのではないでしょうか。