栄木の”ひとり言”

【第294号】車、売りました。

前回のコラムで、「車、ぶつけました。」という話を書きました。

今回は、その後日談です(笑)。

車検が近いこともあり、車を乗り換えるちょうど良い機会と捉え、買取査定をお願いしました。
今の中古車買取は、なかなかの競争です。
ネットで査定を申し込むと、すぐに何社からも電話がかかってくる。
せっかくなので、5社に同じように査定してもらうことにしました。

やって来た最初の4社の担当者は、いずれも業界経験が長そうなベテラン。
こちらの様子を見ながら、
「他社はいくらでした?」
「今日決めてもらえるなら……」
と、売り手との駆け引きも手慣れたものです。

そして最後に来た1社が、大手買取会社から来た若手社員でした。
第一印象は、
「この人大丈夫かな?」
でした(笑)。
他の4人と比べると、明らかに頼りない。
しかも唯一、チェックシートを取り出して、一つひとつ確認しながら査定を進めていきます。
聞くと、社会人2年目だとか…。

ところが、結果は逆でした。

できるだけ高く売りたい。
確実に入金してくれる会社か。

この二つを最も満たしてくれたのが、彼でした。
結果として、その会社に売却することを決めました。

そして後日、車を引き渡すときに何気なく聞いてみました。
「ちなみに、買取の勝率ってどれくらいなんですか?」

すると、
「だいたい5割です」
とのこと。

驚きました。
これだけ競争の激しい世界で、入社2年目の社員が2件に1件を成約している。

そこで、あのチェックシートの意味も少し違って見えてきました。
頼りなさの象徴だと思っていたものが、実は「しくみ」の象徴だったのです。
査定、価格決定、顧客対応、契約、情報共有。
個人の経験や勘だけに頼らず、成果を出せるように仕事が設計されている。

組織における「しくみ」は「骨格」のようなものだと思います。
骨格がしっかりしていれば、経験の浅い人でも力を発揮できる。
人が変わっても、組織として一定の力を出せる。
強い組織には、強い骨格があります。

ただ、もう一つ印象に残ったことがあります。
彼と話している中で、仕事について、
「正直、この先ずっと続けていくのはしんどいです」
と漏らしたことです。

もちろん、一人の社員の言葉だけで会社全体を語ることはできません。
ただ、考えさせられました。

骨格だけでは、人は生きられない。

身体には、血が流れています。

組織にも同じように、
対話、信頼、感謝、承認、思いやり、仕事の意味づけ。
そんな「血液」が必要なのではないでしょうか。

骨格がなければ、組織は立てない。
でも、骨格だけでは、血の通った組織にはなりません。

しくみという骨格を整え、
そこに人と人との血を通わせる。

その両方があってこそ、本当に強い組織になる。

前回は、車をぶつけて学びました。

今回は、車を売って学びました(笑)。

みなさまの職場には、骨格がありますか。
そして、そこにはちゃんと血は通っていますか?