今週は、いくつかの会社の現場に足を運び、働く人たちの声をじっくり聴く機会がありました。
そこで印象に残ったのは、いわゆる”Z世代”と言われる方々から出てくる、率直な言葉でした。
「なるべく定時に帰りたい」
「新入社員の教育制度が整っていない」
「社内の飲み会やBBQは、正直なくてもいい」
「みんなでランチに行くのは正直面倒。休憩くらい1人になりたい」
「もっと話せる間柄にはなったほうがいいと思う。ただ、個人の領域には踏み込まれたくない」
「有給をもっと増やしてほしい」
こうした言葉だけを切り取ると、もしかすると、上の世代の方々は少し複雑な気持ちになるかもしれません。
「まだ仕事を覚えている途中なのに」
「まずは目の前の仕事を頑張ることが先では」
「権利ばかり主張しているように聞こえる」
筆者自身も、もし言語情報だけ受け取っていたら、間違いなくそう感じます。
ただ、一人ひとりの話をもう少し丁寧に聴いていくと、少し違う景色が見えてきました。
彼らは、決して会社に無関心なわけではありませんでした。
仕事を軽く見ているわけでもありません。
むしろ、自分なりに職場のことをよく観察しています。
そのうえで、今の職場に対して、小さな違和感や不安を持っているように感じました。
たとえば、「定時に帰りたい」という言葉。
これは、ただラクをしたいという話ではなく、無理を重ねる働き方を当たり前にしたくない、という感覚に近いのかもしれません。
仕事は大事。
でも、自分の生活も大事。
長く働くためにも、無理をし続けることを前提にはしたくない。
そんな現実的な感覚があるように思いました。
また、「教育制度が整っていない」という声も印象的でした。
これも、手取り足取り教えてほしいという甘えではなく、
「この会社で一人前になる道筋が見えにくい」
という不安の表れに映りました。
貢献はしたい。
でも、誰に何を聞けばいいのか分からない。
何を覚えればいいのかが不明確。
どこまでできれば成長していると言えるのか。
そのあたりが曖昧なままだと、本人たちも前に進みにくい。
そう考えると、この声は不満というより、会社の育成の仕組みに対するヒントでもあるように感じました。
もう一つ、考えさせられたのが、人間関係に関する声です。
「飲み会やBBQはなくてもいい」
一方で、
「もっと話せる間柄にはなったほうがいい」
一見すると矛盾しているようにも聞こえます。
でも、よく聴いてみると、彼らは人間関係そのものを避けたいわけではないようでした。
ただ、昔ながらの“仕事終わりに集まる”“休日にみんなで親睦を深める”という形には、少し距離を感じています。
話せる関係はほしい。
でも、踏み込まれすぎたくはない。
相談しやすい職場にはしたい。
でも、私生活まで含めて仲良くすることを求められると苦しい。
この感覚は、今の職場づくりを考えるうえで、とても大事なものだと思います。
筆者は、こうした声を「Z世代は何を考えているのか分からない」と片づけてしまうのは、少しもったいないと感じました。
もちろん、すべてをそのまま受け入れればいい、という話ではありません。
会社には会社の事情があります。
仕事には責任もあります。
一定の負荷や努力が必要な場面もあります。
ただ、その前に、なぜそういう声が出てくるのかを見てみることは、決して無駄ではないと思います。
「定時に帰りたい」の奥には、仕事の優先順位が見えにくいことがあるのかもしれない。
「教育制度がない」の奥には、成長の階段が見えない不安があるのかもしれない。
「飲み会はいらない」の奥には、別の形で関係性をつくりたいという気持ちがあるのかもしれない。
「有給を増やしてほしい」の奥には、安心して休みにくい空気があるのかもしれない。
表面的には、権利意識のように見える。
でも、少し深く聴いてみると、そこには職場の仕組みや関係性への問いが隠れている。
今回、現場で話を聴きながら、筆者はそんなことを感じました。
若手の声は、ときに未熟に聞こえることがあります。
言葉の選び方が十分ではないこともあります。
会社全体の事情まで見えていないこともあります。
それでも、その声の中には、これからの組織づくりに必要なヒントが含まれていると思います。
大事なのは、若手の声をそのまま正解にすることではありません。
かといって、「わがまま」と決めつけて終わらせることでもありません。
その声をきっかけに、職場のあり方を少し見直してみる。
教育は整っているか。
相談しやすい関係はあるか。
休みやすい空気はあるか。
仕事を通じて成長できる実感はあるか。
こうした問いを持つこと自体が、これからの会社には必要なのかもしれません。
若手の声は、会社への不満であると同時に、会社が変わるきっかけでもある。
そんなことを、今週の現場で感じました。