ここ3年、富良野に行くたびに泊まっているコテージがあります。
最初のきっかけは、偶然でした。
「富良野 コテージ」
そんな言葉で検索していて、たまたま見つけた一軒です。
一度泊まってみたら、とても居心地がよく、それ以来、富良野を訪れるたびにリピートするようになりました。
もちろん、建物もいい。
場所もいい。
富良野らしい空気も好きです。
でも、筆者がここを気に入っている一番の理由は、たぶんオーナーです。
この方が、とにかくイキイキしている。
このコテージも、もともとは廃屋だったそうです。
それを安く仕入れ、自分たちで手を入れて、今のコテージにつくり変た。
先日お話ししていると、
「また別の廃屋を買ったんですよ」
とのこと。
「へえ、またコテージにするんですか?」
と聞くと、
「そうですね。これから掃除に行ってきます」
と、屈託のない笑顔で出かけていきました。
なんだか楽しそうなんです。
もちろん、暇なはずはありません。
コテージの管理もある。
ラフティングの仕事もある。
新しく手に入れた廃屋にも手を入れなければならない。
きっと、やることは山ほどあるのでしょう。
でも、不思議と時間に追われている感じがしない。
「忙しい」「大変だ」「頑張っている」
そんな空気をほとんど感じないのです。
筆者たちが宿泊している間にも、
「いつも来ていただいているので」
と、獲れたての”とうもろこし”をどっさり持ってきてくれました。
しばらくすると、
「知り合いが和牛を育てているんですよ」
と、今度は焼肉用のお肉まで。
サービスというより、
「いいものがあるから、一緒に楽しみましょうよ」
という感じです。
その距離感が、なんとも心地いい。
一方で、筆者の中の“経営者目線”がムクムクと顔を出します。
今、北海道はインバウンドで活況です。
これだけいいコテージなら、もっと展開できるんじゃないか。
廃屋を安く仕入れてリノベーションする。
棟数を増やす。
大手の旅行予約サイトにも登録する。
稼働率を上げる。
そんなことを聞いてみました。
すると、
「それはやらないですね」
とのこと。
大手サイトからたくさん集客するより、
「自分たちのホームページを見て、来てくれるお客様を大事にしたい」
そうです。
なるほど。
だから、こんなにいいコテージなのに、稼働率は決して高くはない。
どうやらこの人、儲けを一番には考えていないようです。
生計の中心はラフティングのガイド。
そして最近は、パラグライダーを教えるための資格まで取ったそうです。
「自分、いろんなことやってみたいんで」
笑いながら、そう言いました。
その言葉を聞いて、筆者は少し羨ましくなりました。
事業をやっていると、どうしても考えます。
どうすれば売上が上がるか。
どうすれば効率が良くなるか。
どうすれば事業を大きくできるか。
もちろん、それは大切です。
でも、それを突き詰めていくうちに、
事業を大きくするために、人生を使う
ようになってしまうこともあります。
一方、このオーナーを見ていると、少し違います。
コテージをやる。
ラフティングをやる。
パラグライダーもやってみる。
そして、おいしいとうもろこしが採れれば、お客様にも持っていく。
知人が育てた和牛があれば、それも分ける。
自分が面白いと思うことをやり、そこで得た喜びを周りの人とも分かち合っている。
その姿が、筆者にはとても魅力的に映りました。
効率がいいかと言われれば、分かりません。
経営的に最適かと言われれば、もっと別のやり方があるのでしょう。
でも、
事業を最大化しているのではなく、人生を最大化している。
そんなふうに見えました。
筆者にも、いつかやってみたいことがあります。
富良野にコテージのような場所を持って、そこにお客様を招く。
一緒に食事をして、自然の中を歩いて、夜は星を見ながら話をする。
「社会人のための修学旅行」。
仕事なのか、遊びなのか、ボランティアなのか。
その境界線がよく分からないくらいが、ちょうどいい。
だから、このオーナーに惹かれるのでしょう。
筆者がいつかやってみたいと思っている生き方を、すでに目の前で体現している。
売上を最大化する人生と、やりたいことを最大化する人生は、同じではない。
「富良野 コテージ」
何気なく打ち込んだ検索ワードから、
筆者はちょっと憧れる生き方に出会いました。