順調に回っているプロジェクトより、火を噴いているプロジェクトの方が、なぜか目が輝く。誰も困っていないのに「ここ、直せるな」と手が動き出す。周りが「面倒だな」と避ける不具合の山を前に、静かにワクワクしている──そんな人、あなたの職場にいませんか?
今回のテーマは、実行力の領域にある「回復志向」。うまくいっていないものを見つけて、元の姿以上に立て直すことに喜びを感じる資質です。
■「回復志向」って、どんな資質?
一言でいうと、「壊れているものを、放っておけない」。
多くの人にとって問題は“避けたいもの”ですが、回復志向にとっては“腕の見せどころ”。原因はどこか、何をどう直せば蘇るのか──そのプロセス自体が楽しくて仕方ない。医師が患者を診るように、症状から原因を探り当て、処方箋を書くことに没頭します。
私が見てきた方に、回復志向が上位の人がいます。チームの残業が慢性化していたとき、誰に頼まれたわけでもないのに業務フローを一つずつ辿り始め、「ここで毎回手戻りが起きています」とボトルネックを特定。気づけば仕組みごと立て直していました。本人いわく、「困っている状態を見ると、体が勝手に動くんです」。
■「いつもダメ出しばかり」は誤解です
回復志向の人は、しばしばこう言われます。「あの人は問題点ばかり指摘する」と。
でも、本人の中で起きていることは真逆です。批判したいのではなく、治したい。「もっと良くなるのに」が見えてしまうからこそ、黙っていられない。指摘は攻撃ではなく、その対象への関心と愛着の裏返しなんです。
似た資質に分析思考がありますが、軸足が違います。分析思考は「なぜそうなったのか」を突き詰めたい。回復志向は「で、どう直すか」に一直線。原因究明はあくまで治療のための診断です。
■回復志向の強みと盲点
強みは、誰もが尻込みする厄介な問題に、自ら飛び込めること。トラブル対応、立て直し、テコ入れ──“火中の栗”を拾える人は、組織にとって希少です。
一方の盲点は、意識が「できていないこと」に吸い寄せられるため、「褒めてくれない人」「粗探しの人」に見えてしまうこと。そしてもう1つ、直すべき問題がないと物足りず、無意識に問題を“探しに行って”しまうこと。平和なチームに、わざわざ波風を立ててしまうことすらあります。
■回復志向をどう活かす?
【回復志向が高い本人へ】
・ 指摘の前に、一言だけ「ここは良くなってるね」を添える。それだけで、同じ指摘が「攻撃」から「応援」に変わります。
・ 「今は直さない」という選択肢も持つ。すべての問題に即時対応する必要はなく、あえて寝かせる判断も“治療”のうち。
【回復志向が高い人と働く方へ】
・ 指摘の多さは、不満の多さではなく関心の深さ。「よく見てくれている」と受け取ると、関係が変わります。
・ トラブルや立て直しの局面では、迷わずこの人に任せてみてください。平時の何倍も頼りになります。
■おわりに
問題を“厄介ごと”と見るか、“伸びしろ”と見るか。
回復志向の人がチームに1人いるだけで、組織は「壊れても、直せる」という安心感を手に入れられるのかもしれません。
「強みを知れば、自分のキャリアはもっと面白くなる。」
