更新日 2021.03.15
【第11号】ここがヘンだよ!?日本

ーーー 当記事は2014年「えいき通信」で掲載したアーカイブ記事です ーーー
2週間、仕事でニュージーランド(ウェリントン)に行った時のこと。
ニュージーランドの学校は、15:00くらいで放課後を迎える。
すると、職員室は蜘蛛の子を散らすように先生もいなくなる。
先生が生徒より先に家路につくことも。
部活動もなし。登下校時の立哨指導もなし。当然、“残業”とは無縁だ。
職員室とは別に「スタッフルーム」なるものがあり、生徒たちは立ち入り禁止。先生の憩いの場所がある。
授業の空き時間は、ここでコーヒーブレイク。先生同士が談笑している。
週に1回“Tea Time”なるものがあり、先生が持ち寄った菓子でちょっとしたコミュニケーションタイム。
とにかく会話と笑顔が尽きない。
ニュージーランドの夜は早い。
滞在したショッピングモールは、一部のスーパーを除き、18時になると店仕舞いをする。
「24時間営業」なんてもってのほか。
それでいて、朝もゆっくり。おのずと睡眠不足とは縁遠い生活になる。
睡眠がしっかり取れているので、自然と心もおおらかになる。
この国にいると、規則正しい生活が送れる。
↑ニュージーランドの人口は約490万人。羊はその約6倍弱、約2,750万頭だとか。
“ブラック企業”“過労”という言葉が見当たらない。
日本人の感覚からすれば、もっと働かないのか?責任感は?と思う。
でも、彼らは普通に暮らしている。
いや、笑顔の比率は、日本より高いかもしれない。
日本の良さは「正確さ」「緻密さ」にある。
ニュージーランドの電車は、よく運休するという。また、必ずしも時間通りに来るとは限らない。
今回ニュージーランド航空に乗った時のこと。読書をしようとしたらヘッドライトがつかなかった。
日本の航空機の方がよっぽど多く乗っているが、このような経験をしたことはない。
日本人の中には「何でつかないんだ!今すぐ交換して!」と目くじらを立てる人もいるかもしれない。
でも、ニュージーランド人にとっては「つかないものは、しょうがない」のである。
細かいことで腹を立てないおおらかさがある。
日本と2週間距離を置いて感じたこと。
それは、今の日本社会に漂う空気感は、「ミスは許されない」⇒「より、正確さ・緻密さを求められる」⇒
「労働時間も多くなる」⇒「余裕がなくなる」⇒「新たなミスの温床となる」という図式だ。
ニュージーランドは、「ミスはしょうがない」⇒「大体でいい」⇒「労働時間は少ない」⇒「余裕がある」⇒「思ったよりミスが少ない」という図式であった。
日本人から見たニュージーランド人、それは「責任感をしっかり持って仕事をしているのか?」という感覚。
ニュージーランド人から見た日本人、それは「もっと気楽に過ごそうよ」という感覚だ。
この両者の感覚が理解でき、貴重な経験をさせてもらった。
どっちが優れているとは思わない。
でも、“日本人としてのバランスを取り戻す”ことは必要かな…と感じた。
話は飛ぶが、江戸末期の開国期、欧米人から見た日本人は、「陽気」に映ったという。
今では、世界から見た日本人はどう映るだろうか…。
「ただいま~」
2週間ぶりに帰ってきた我が家。
家には「手巻き寿司」が待っていた。洋食中心の私に気遣ってくれた妻に感謝。
そして、食べようとした手巻き海苔は、「らくらくトレイ」と、取り出しやすいように工夫が施されていた。
日本の本当の良さは、この“ちょっとした配慮”なんだな…と実感した、今日この頃であった。(完)
↓私のホームステイ先で出されたニュージーランドのランチ。ちょっとおおざっぱです…。