株式会社イキイキ(IK!IK!)

社長コラム

IK!IK!通信

更新日 2025.03.17

【第219号】「それって、ハラスメントじゃない?」

「それって、ハラスメントじゃない?」

最近、職場でよく話題になるのは「ハラスメント」です。
「これもハラスメント?」「あれもハラスメント?」と、まるで職場がハラスメントの「宝探し大会」のようになっています。
「ハラスメント防止研修」も、今や恒例になり、研修講師を務める筆者のもとにも依頼が増えています。

しかし、なぜこのような状況になったのでしょうか?

ひとつの理由は、「ハラスメント」と感じる基準が変化していることです。
昔は普通だったちょっとした冗談や軽口も、今ではまるで地雷原を歩くようなものになりました。
うっかり踏み込めば、大きな問題に発展しかねません。

さらに、以前は「嫌だ」と思っても、我慢したり泣き寝入りするしかありませんでした。
しかし、今はSNSなどの通信手段が発達し、「それはハラスメントです」と発信できる時代になりました。
「逆襲のシャア」ならぬ、「逆襲の被害者」の時代ともいえるかもしれません。

とはいえ、すべての問題が「出来事」そのものにあるのでしょうか?
ここで、意外な視点をご紹介します。

書籍『悩まない人の考え方』(木下勝寿著)では、次のように指摘されています。

――
悩みは「外部」ではなく「内部」から生まれる。
悩みは「出来事」ではなく「解釈」から生まれる。
悩みは「事実」ではなく「感情」から生まれる。
――

これは、職場のハラスメント問題にも当てはまるかもしれません。

例えば、上司が「もう少し工夫できない?」と一言。
Aさんは「よし、期待に応えよう!」と前向きになりますが、
Bさんは「自分はダメだと遠回しに言われた…」と落ち込んでしまいます。
全く同じ言葉なのに、まるで天国と地獄のようです。

このように、ハラスメントの正体は「言葉そのもの」ではなく、「受け取り方」にある場合も多いのです。
しかし、ここで誤解してはいけません。

ハラスメントには、「解釈のズレ」が問題となるケースと、明確に加害行為があるケースの2種類があります。

ひとつは、相手に悪意はないものの、受け手が不快に感じる「解釈のズレ」から生じる問題です。
伝え方や関係性によって印象が変わるため、同じ言葉でも受け取り方に差が出ます。
例えば、「もっと工夫できない?」という言葉が、Aさんには励ましとして伝わり、Bさんには批判と受け取られるケースがあります。

もうひとつは、侮辱や脅迫、暴言など、誰が見ても不適切な「明確なハラスメント」です。
これは「受け手の解釈」に関係なく、客観的に問題があります。
例えば、「お前は使えないヤツだ」といった人格否定の発言は、間違いなくハラスメントに該当します。

「解釈のズレ」を整理しないまま、すべてをハラスメントとして扱ってしまうと、本当に守るべき被害者が埋もれてしまいます。
だからこそ、「どのケースなのか?」を慎重に見極めることが重要です。

多くのハラスメント問題の根底には、「コミュニケーションのズレ」「信頼感の不足」があります。

信頼感があれば、「あの人の言葉だからきっと悪意はない」と思えますが、
それがなければ、「今の言葉、絶対に悪意があったよね」と疑心暗鬼になってしまいます。

現代は、NetflixやYouTube、ゲームなど、「人間関係を避けるツール」が溢れています。
職場で少しでも嫌なことがあると、「人間関係、マジで面倒くさい…」と簡単に逃げ込める環境が整っています。

しかし、それではますます人間関係のストレス耐性が下がり、結果として「何でもハラスメント」に見えてしまうケースが増えてしまいます。

すでに信頼関係が壊れている職場では、いきなり「雑談を増やそう」では解決しません。
まずは、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。

例えば、
・相手の話を最後まで聞くことを意識する
・「ありがとう」「助かりました」など、感謝の言葉を伝える
・何気ない会話の中で、相手が大事にしていることを知る

こうした小さな積み重ねが、徐々に「信頼関係の土台」を築いていきます。

職場は、「面倒な人間関係に苦しむ場所」ではなく、「人間関係構築力を養っていく場所」です。
雑談を増やす仕掛けを作ったり、プロジェクトチームで協力を促したり、心理的安全性を高めるワークショップを取り入れることで、信頼をベースに成果を出せる職場へと変えていくことができます。

「それってハラスメント?」と疑問が浮かんだら、それは相手との「ズレ」を修正し、信頼を築くチャンスです。

「面倒くさい」と逃げずに、
「自分にできることはないかな?」
「相手が大事にしていることは何かな?」

と想像し、一歩踏み出してみるだけで、職場はもっと成果が上がり、笑顔あふれる場所になるはずです。

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